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名も無き人々の言霊 5

名も無き人々の言霊 5

古本聡

ネットの雑誌や新聞記事で見かけた、極々普通の人たちによって語られた印象深い言霊を紹介しようと思います。


今日ご紹介するのは、私が7、8歳の頃にロシアの障害児収容施設で聴いた言葉です。

—- Разве можно любить холод?
—- НУЖНО. Холод учит ценить тепло.
—- Is it possible to love cold?
—- It’s NECESSARY to love it.
Cold teaches us to appreciate warmth.
— 寒さを好きになれることってあるのかなぁ?
— 好きになれるかどうかじゃないよ。
ならなきゃいけないんだよ。 暖かさの有難味を知るためにね。
(英訳・和訳 by 古本聡)
ロシアの冬の寒さは厳しいです。でも、それを乗り切らないといけません。だからこそ、春の暖かさを心待ちにするのです。これは自然環境についてだけ言えることではありません。粛清や独裁、監視・密告社会を経験してきた民だからこそ、すっと口に出る言葉なんでしょう。 私はロシア人を、「厳しさを受け入れる名人」だと思ってきました。作家アントン・チェーホフの「シベリアの旅」という旅行記の中で、チェーホフと馬車の御者が次のような会話を交わしています。
「シベリアはどうしてこう寒いのかね?」
「神様の思し召しでさ・・・。」
いつの時代も同じ感覚を持ち続けてきたのでしょう。 それでは、また次回、心に残る言霊を探してきます!

【筆者プロフィール】 古本 聡(こもとさとし) 1957年生まれ 脳性麻痺による身体障害1種1級 旧ソ連で約10年間生活。内5年間を現地の障害児収容施設で過ごす。 18~24歳の間、障害者運動に加わり、障害者自立生活のサポート役としてボランティア、介助者の勧誘・コーディネートを行う。 大学卒業後通訳・翻訳会社を設立、2019年まで運営。 2016年からユースタイルカレッジの重度訪問介護従業者養成研修統合課程での実習/講話を主に担当。 現在はユースタイルラボラトリー社員。 妻、娘の三人家族。