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起業家のように企業で働く 小杉俊哉(著)

起業家のように企業で働く 小杉俊哉(著)

高浜敏之




私が最近読む本のジャンルは、ビジネス50%、福祉30%、その他20%、こんな感じだろうか。週2冊くらいのベースで本を読むが、最近読んだビジネス関連書籍で一番お勧めできるのがこの本である。

そもそもこの本はユースタイルラボラトリー株式会社CEOの大畑健さんから勧められて知った。移動時間に電車の中で読み始めたのだが、具体的事例の豊かさや著者の体験談に引き込まれ瞬く間に一気に読了してしまった。

そもそも私は働くことがあまり好きではなかった。長年、働くとは、やることではなくやらされること、であり、ほんとはやりたくないけど生活のために致し方なくやらざるをえないこと、であった。

なので、19歳から家を出て働きながら自立した生活を送るなかで、一貫して仕事には最少時間で最小ストレスで最大収入を得ることのみを期待した。働くことそのものの意味や価値はあまり重要ではなかった。

なので、休みの日に仕事の連絡がくるなどということは、言語道断、もってのほかのことであり、タイムカードも出社1分前と退社1分後に打つことを旨としていた。5分以上の残業など許すまじきことに感じられた。それを一般化したかったので労働運動にも参加したし、コミュニティユニオンの立ち上げにも関与した。

プライベートが本番であり、労働時間は懲役期間くらいにとらえてた。

いま現在、そもそものポリシーと真逆の生活をしている。休みの日にもバンバン仕事関係の連絡が来るし、仕事とプライベートの境界がますます曖昧になりいつからいつが仕事でいつからいつがプライベートかわからないくらいだ。ワークライフバランスなどというものは皆無に近い。

では地獄の日々を送っているのか?以前の私ならそのようにとらえたかもしれないが、これがそうでもない。むしろプライベートと仕事が、やりたいこととやらなければならないことが合流し、いわゆるワークライフインテグレーションが実現している。

率直にいうと、いまほど働くことに意味と価値と充実を感じることができたことはかつてない。これはユースタイルラボラトリー入社以来一貫している。

何が変わったのか?一つ言えることは、いま私は、また私たちは、著者の小杉俊哉さんがいうとおり、この会社で、起業家のように企業で働けているから、かもしれない。

では起業家と労働者の違いは何なのか?それは主体性、自己決定、能動性、創造性というキーワードが想起される。

それは自立生活運動において障害者の方々が追求してきたテーマと一致する普遍的テーマだ。

はっきりと言えることがある。労働者として働くより、起業家のように働いたほうが、楽しい日々が送れる、ということである。少なくとも労働運動の活動家だった私にとってすら、いまはそうだ。1日8時間も、生活のためにやらざるをえないことをやらされるとういう意識のなかで時間を消費することは耐え難い。

そしてそのような働き方と生き方が可能となるには個人と組織マネージメントの価値転換が必要だろう。

それに、起業家のように企業で働く人が一人でも多い企業は離職率も低く、社内も活気にあふれ、大きな価値を生み出す可能性にあふれていると確信する。

ということについて様々な具体的事例を列挙しながら書かれた秀逸な作品であり、

これから企業で働こうという人と働く時間に空虚を感じた人、それから組織マネジメントを担う人たちにおすすめの本である。



高浜敏之
土屋訪問介護事業所GM。ユースタイルラボラトリー株式会社COO。全国障害者在宅生活支援事業者連絡会代表。慶応義塾大学文学部卒。哲学科美学美術史学専攻。20代は様々な職業遍歴を経て、30歳で重度訪問介護というサービスと出会い、福祉の仕事をスタート。それと同時に日本の障害者運動のパイオニアである新田勲さんが代表を務める全国公的介護保障要求者組合の事務局を担うことに。30代はホームレス支援、移住外国人労働者支援など社会的マイナリティーの権利回復運動にコミット。その後東京都中野区にあるグループホームでの介護職員を経て2012年5月にユースタイルラボラトリー株式会社の立ち上げに参加。デイサービス土屋中野坂上の管理者、生活相談員を経て土屋訪問介護事業所やユースタイルカレッジを立ち上げる。現在は土屋訪問介護事業所を統括しながら事業者ネットワークの発起人として活動する。趣味はボクシング、アート、文学、など。