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女性が知っておくべきビジネスのオキテ  バット・ハイム (著), スーザン・K・ゴラント (著), 坂東智子 (翻訳)

女性が知っておくべきビジネスのオキテ  バット・ハイム (著), スーザン・K・ゴラント (著), 坂東智子 (翻訳)

吉岡理恵




私は当社の重度訪問介護事業部の初期メンバーの一人です。事業自体は当社の高浜と中原が始め、しばらくしてから現在本社勤務の長尾が加わり、神奈川エリアマネージャーの綾部、そして私が加入しました。当時高浜を除くこの4名が重度訪問介護事業部の常勤コーディネーターで、男性1名、女性3名の、介護職の男性・女性労働者の割合をそのまま映したメンバー構成でした。そして現在、当社の役職者におけるこの男女比は圧倒的に逆転され、女性マネージャーはかなりの少数派です。今回はこの本を題材にその理由の考察と、今の、そして未来の女性リーダーへの啓発をしようと思った次第です。

私がこの本を読んだのは当社に入る前でしたが、断捨離派の拙宅で何度も古本屋行の当落ラインを潜り抜けた、ときめきを保った本の一冊です。本書の帯には、「能力だけで認められるのは20代まで。男のオキテを知らなければその先には行けない。」とあります。私が本書を手にした時から何年も経過していますが、このフレーズは今でも、そして当社でもまだまだ十分当てはまるように思います。当社は女性のリーダーシップについては理解のある職場だと思いますし、そもそも介護・福祉職なので昭和初期の男らしさ、女らしさ、の定義通りの人材より、勢いのある女性、気遣いのできる男性といったタイプに活躍のチャンスの多い職種だったりもします。それでも、ピラミッド型の組織構造体で生き抜く力は女性より男性の方が圧倒的に上手いな、と感じます。潜在的リーダーシップのある女性たちへ、昇進・昇給には、上手い、下手があるのです。オキテ=ルール=ワザがあるのです。(と本書では言っています。)

小さいとき、男の子たちは戦い、得点、冒険、が好きでした。女の子は育成、着せ替え、おしゃべり、が好きでした。この傾向は歴史、環境、本能である程度定まっているものだとしても、男性は幼少期から競争意識、チームビルディングを‟訓練”し、その延長線上にビジネスという舞台があるということです。一方で、女性は和を尊しとして生きてきた学生生活から、競争原理で動くビジネスの世界に足を踏み入れた時、はじめは異文化圏に訪れたような戸惑いを覚えたことと思います。和と競争、これからの時代は、男性が得意とする競争システムだけでなく、女性が得意とする教育やコミュニケーション能力を活かさないとやっていけない社会になるはずですが、職種や事業体によって差はあるものの、現代はまだ女性らしさが活かしきれていない社会のように思います。そして男らしさ、女らしさの、それぞれのいいところを活かし、見落としがちなところを補いながら、組織と社会のためのよりよいリーダーシップの在り方を構築していくべき時代なのではと思います。

ところで、組織において、男性上司の下す判断や指針に絶対的な修繕が必要だと才ある女性の部下は気づくことがあります。女性部下は気づいた修繕点を男性上司にただ訴えるだけではなく、ときに対案とその結果見通しまで立ててよりよさを呈することもあります。でも、こうした行動は男性上司にはうるさい愚痴と不満と捉えられ、必ずと言っていいほど聞き流されます。どんな論理も感情も、男性上司からは既読スルーと聞こえないふりの対象にしかならないことが多いです。女性部下は、その男性上司がよりよい方針を選ばないことに、そしてなぜかその男性上司の判断に疑問も反論もなく賛同する男性部下達を横目に見て、彼らは無知なのかと疑いを抱き、同様なことが続くと組織がおかしいのではと思い、いつの間にかなぜ会社は私たちの頑張りを認めないのか、の声に変わっていくことがあります。それはそれで致し方なく私もその気持ちが本当によく分かるのですが、この声を私は男性優位の組織のルールを知らない女性たちの届かない嘆きの声のように辛い気持ちで聞いています。

私は女性で、女性として育てられたことに疑問を抱かなかった人間なので、男性のことは分かりません。でも、本書の男性組織に対する見解は、そこそこ正当性が高いのではと思います。それゆえ、この社会組織の在り方に疑問を拭えず、もやもやしている女性職員の方がいたら、その方に本書を一読することをお勧めします。私は運と努力の両方で今の職責にあると思っていますが、それは自分の性格・経験に、本書やビジネス書、障害福祉に関わる本やトピック、上司・同僚・部下からの援助と助言、利用者・関係者とのやり取りから得たものを、日々の問題解決に随時活かしたからだと思っています。そして今でも、自分の直感と、合意形成を極力避けるトップダウンの組織の在り方に納得できないときがあるのですが、それでも本書からのインスピレーションがなかったら、私は今のピラミッド上方からの視野を持てなかったとも思っています。

すべての必要な人に必要なケアを、当社はこのミッションをソーシャルビジネスとして取り組んでいます。社会貢献をビジネスの手法を用いて行っています。ビジネスは組織体で行うものであり、この組織体は大きければ大きいほど社会に与える貢献度合いも大きくなります。当社の常勤職員全員が知っている、スケールメリット、です。組織体はピラミッド構造ですが、それはピラミッド構造の方が効率がよく、運営にメリットがあるからです。しかしながら組織は思った以上に古い男性意識で構成されていました。でもこの組織体は、現状維持より女性視点での修繕を加える方が、よりよい組織が、よりスピーディに作れるはずです。その修繕は、組織の中からするのが得策でしょう。だとしたら、組織のピラミッドの上方に、より多くの女性マネージャーが不可欠だろうと思います。

女性マネージャー、女性マネージャーを目指す方々、この本を読んでみませんか。この本ではなくても、この手の本、でも構いません。それほど、幼児期におままごとをしていた私たちは組織で生き抜く訓練が不足しているようです。胸を張って、上を向いて、そしてしたたかに、女性の真の強さを表現しましょう。



吉岡理恵

1981年東京都生まれ、東京都立大学経済学部卒業、大学在学中にオーストラリア、マッコーリー大学に公費留学、帰国後法律系事務所でOLとして働く、2014年東京都職場体験プログラムを機にESLのデイサービス、ユースタイル諏訪ノ森で介護職デビュー、2016年より常勤職員として土屋訪問介護事業所の重度訪問介護事業に参加し各地のマネージャーを務め現在に至る、2018年介護福祉士登録、OL時代にフルマラソンに挑戦し完走8回、趣味は料理と読書