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よあけ  ユリー・シュルヴィッツ (著, イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

よあけ

ユリー・シュルヴィッツ (著, イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

高浜敏之



この絵本とは、20年以上前に、父の故郷である長崎県にある祈りの丘絵本美術館で出会った。

何気なく手にとって開いたら、そこにはまるで芭蕉の俳句のような詩的静寂にあふれてて、すぐに購入したのを覚えている。

著者のユリー・シュルヴィッツ はボーランド生まれではあるが、この絵本は唐の詩人・柳宗元の詩「漁翁」がモチーフになってるという。

青年期に、よあけ、と出会ってから20数年の時がたち、40半ばを過ぎた私はいま、この絵本を夜寝る前に2歳になる娘と一緒に読むことがある。

最近次々と新しい言葉を獲得していってる娘は、物語の中で湖が現れると、指さして、「あ、うみだ!」と名付けている。



かつて私は、プロボクサーになる夢を捨て、文学に耽り、さまざまなアディクションにおぼれ、方向性のない日々を過ごしていた。

いま私は、障害者運動と出会い、ソーシャルビジネスのマネジメントを担い、人生に確固たる目標を持ち、たしかな道を歩むことができているように思う。

予想だにしなかった。

自分には福祉も幸せな家族も不釣り合いなように感じられていた。

何かが変わった。

しかし、よあけ、を読んで静かな感動がやってくる自分は、いまもむかしも変わらない。

変わりえない久遠のものと触れたい、と思ったときにおすすめの作品です。