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よあけ  ユリー・シュルヴィッツ (著, イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

よあけ

ユリー・シュルヴィッツ (著, イラスト), 瀬田 貞二 (翻訳)

高浜敏之



この絵本とは、20年以上前に、父の故郷である長崎県にある祈りの丘絵本美術館で出会った。

何気なく手にとって開いたら、そこにはまるで芭蕉の俳句のような詩的静寂にあふれてて、すぐに購入したのを覚えている。

著者のユリー・シュルヴィッツ はボーランド生まれではあるが、この絵本は唐の詩人・柳宗元の詩「漁翁」がモチーフになってるという。

青年期に、よあけ、と出会ってから20数年の時がたち、40半ばを過ぎた私はいま、この絵本を夜寝る前に2歳になる娘と一緒に読むことがある。

最近次々と新しい言葉を獲得していってる娘は、物語の中で湖が現れると、指さして、「あ、うみだ!」と名付けている。



かつて私は、プロボクサーになる夢を捨て、文学に耽り、さまざまなアディクションにおぼれ、方向性のない日々を過ごしていた。

いま私は、障害者運動と出会い、ソーシャルビジネスのマネジメントを担い、人生に確固たる目標を持ち、たしかな道を歩むことができているように思う。

予想だにしなかった。

自分には福祉も幸せな家族も不釣り合いなように感じられていた。

何かが変わった。

しかし、よあけ、を読んで静かな感動がやってくる自分は、いまもむかしも変わらない。

変わりえない久遠のものと触れたい、と思ったときにおすすめの作品です。


高浜敏之
土屋訪問介護事業所GM。ユースタイルラボラトリー株式会社COO。全国障害者在宅生活支援事業者連絡会代表。慶応義塾大学文学部卒。哲学科美学美術史学専攻。20代は様々な職業遍歴を経て、30歳で重度訪問介護というサービスと出会い、福祉の仕事をスタート。それと同時に日本の障害者運動のパイオニアである新田勲さんが代表を務める全国公的介護保障要求者組合の事務局を担うことに。30代はホームレス支援、移住外国人労働者支援など社会的マイナリティーの権利回復運動にコミット。その後東京都中野区にあるグループホームでの介護職員を経て2012年5月にユースタイルラボラトリー株式会社の立ち上げに参加。デイサービス土屋中野坂上の管理者、生活相談員を経て土屋訪問介護事業所やユースタイルカレッジを立ち上げる。現在は土屋訪問介護事業所を統括しながら事業者ネットワークの発起人として活動する。趣味はボクシング、アート、文学、など。