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えっ!介護職ですか!?凄い!! ~介護職の地位向上のための「共通価値」~ 

えっ!介護職ですか!?凄い!! ~介護職の地位向上のための「共通価値」~

吉田政弘



 私は介護職に転職したが、正直なところ周囲の反応は微妙である。
大学の同期「おまえ、チャレンジャーやな。。。確かに大事な仕事やね。」
以前の会社の同僚「何かやってしまったんか?」
妻のご近所トーク「。。。旦那さん、優しいんやね。」

。。。こういうのを聞くと、介護職って本当に評価が低いなと実感する。

 現在介護職のマネージャーをさせていただいている立場であるが、誤解、語弊を恐れず、介護職の評価・地位向上のためにこのコラムを書きたいと思う。

 そもそも私が介護職に転職して身を置く決意をしたきっかけも、介護職の地位向上に貢献したいという想いが大きかった。前職で介護施設の事業再生コンサルティングをしていた時、やっとの思いで業績の黒字化計画を作ったのに、平成30年の報酬単価改定で単価が下がったことにより再度赤字となり、「もう人件費しか削るところがない。。。」となったことが転職を考えたきっかけである。
 事業再生コンサルティングではその施設の従業員にも色々とヒアリングやアンケートを通じて意見を聞いていたが、皆さん共通してホスピタリティーの気持ちに溢れていた。コンサルタントとして従業員の給与データも見ていたが、既に全員給料は低く、これ以上給料を下げることは出来ない水準だった。特に優しくていい人達の給料は下げたくなかった。
 この会社を赤字にして苦しめていたのは過剰な設備投資(言い換えれば身の丈に合っていない豪華な施設)が原因であったが、一方で綺麗なお風呂や充実した手摺りの配置は入居者に喜ばれていた。設備は別に大理石の風呂というように豪華すぎる訳ではなく、普通にちょっと綺麗で便利ぐらいのレベルである。
 会社を黒字にするためには、介護職の給料を生きていけない水準まで下げるか、入居している高齢者から更に利用料をふんだくるか、設備をちょっと汚く、不便にしてギリギリ我慢できる水準にしていくか、、、。
 私はこれはおかしい、業界構造的に問題があるのではないかと思い、自身も介護業界に身を置いて確認したいとの思いから転職を決意した。

 話は戻るが、実際に介護職として働いていて、介護職の社会的な評価は低いと感じている。冒頭の私の周囲の反応から見える評価は「誰でもできる、3K(臭い、汚い、キツイ)、給料安い」というイメージだと思う。
 また、実際に介護の現場においても医者、看護師と比べて介護職は本当に底辺のような扱いを受けることもある。利用者からも、医者、看護師への信頼度と比べ、本当に介護職のことは信頼していないんだな。。と感じてしまう場面がよくある。もちろん介護職に敬意を払ってくださる医業者も多数いることは断わっておく。

 このような状態が続くと介護職員が減っていったり、底辺の状況に開き直ってしまい、業界水準の向上が図られないということになるため、厚生労働省としても「介護職の専門性」を図る指標として「介護福祉士」や「社会福祉士」等の国家資格制度を設け、資格者を多く雇用している施設に加算をするような制度を組み立ている。
 介護職員としても、利用者に安心してもらうため、評価(給料)を上げるために介護福祉士や社会福祉士の資格を志してプロとして働いている人が多い。私も関係者や利用者からの信頼を得るための肩書として取得するために社会福祉士の通信制専門学校に入学・卒業し、来年2月の試験に向けて勉強しているところである。

 では、介護福祉士や社会福祉士等の資格を取ると社会的な評価が上がるのかというと、残念ながらそこまで大きな影響はない。ちょっと現場のことを知っている、ちょっと福祉のことを知っていると認識されるぐらいである。周囲から「先生!」や「凄い!」と言われるものではない。
 介護における資格は名称独占(士業を名乗っていいよ。というもの)であり、業務独占(看護師資格が無いと針を刺す行為ができない、PT・OTでないと関節可動域を広げるマッサージはできない等)ではない。介護福祉士だけができるという行為は特に無く、介護福祉士でなくても介護はできる。これが「先生!」と呼ばれない原因である。
 逆に介護福祉士しか介護が出来ないというようにしてしまうと、現在でも介護職が足りないのに更に介護職が減ってしまい、超高齢化社会を乗り切ることが出来なくなってしまう。このような懸念から障害当事者の方々の中にも「資格制度」に否定的な意見があるのは事実である。

 つまり、介護職の地位向上を考える上で、現在厚生労働省が進めているような「資格制度」では体系的な賃金構造や加算構造による評価は可能であっても、介護に携わっている人の社会的な評価を高める(「凄い!」の一言を引き出す。少なくとも「3K、、」という印象を払拭する。)には不十分である。
 最も、今後要介護者(高齢者、障害者)が増え、圧倒的な介護職不足の時代になれば、介護職の希少性が更に増し、比較論の中で全体的な評価の見直しが起こっていくことは考えられる。しかし、否定的な意味ではなく「外国人に助けてもらう?(外国人の介護職としての招致)」というような「介護=誰でもできる」という認識の議論が中心となっている現状では大きな期待はできない。『外国人ヘルパーを育てる介護講師』という新しい資格が出来て現在の介護職員のステータスが向上する可能性はあるが、その時に現場で介護に従事してくれる外国人ヘルパーの地位は今と変わらないことになってしまう。

 では、介護職員の社会的な評価や地位を向上させるためにはどのようにすればよいのか。
 これは国家レベルのマクロな問題もあるが、私は喫緊の解決策として、介護事業所がいかに「共通価値」を明確に打ち出し、認知を得ていくかによるところが大きいと考えている。つまり、「介護職」よりも「〇〇会社の社員=■■という想いを持って仕事している人」として認知されるような風潮にしていく必要があると考えている。
 
 介護は、そもそも妻・嫁やボランティアから始まり、小規模有志の企業が圧倒的多数という業界特性があるため、介護事業者が「共通価値」を持ってより多くの人向けに事業を拡大していくという風潮に否定的なところがある。全国的に展開している介護事業者も、元々は別業種の大企業がヘルスケア部門として展開しているところが多く、「共通価値」が認識されるというよりは、大企業が母体だから安心という面が認識されやすい。
 このような業界特性の中、介護職の周りは医業者等有資格者が多く資格偏重の業界特性があることや、誰でもなることができるという事実が重なり、介護職は「企業のサラリーマン」という見られ方よりも「介護職」として議論されることが多い。
 厚生労働省の施策も「事業の共通価値」に注目するよりも「介護職」にスポットを当てた議論となっている。

 実際に、金融や鉄鋼、その他多くの仕事は就職するのに資格が必要な訳ではないが、同じ業種の中でもどこの会社に就職しているかで、その働いている人の想い、考えを推測することができる。例えば、メガバンクならマクロな資金の動きに価値を見出して働いている人であり、地銀・信金なら地域振興等に価値を見出して働いている人、等である。
 この点、介護の会社はその会社の企業理念、共通価値が世間に浸透していない。そもそも企業数は多いが規模の小さいところが多く、利用者側としても、どのような考えの会社かよりも入ってくれるヘルパーがいるかいないかのみが注目されてしまい、結局企業側も理念を広めるよりもヘルパーの確保に重きを置いて走ってしまう傾向がある。その会社のヘルパーも単なる一人の介護職員として働くことになってしまう。
 この状況を打開し、介護職員の想いを世間に伝えていくためにも、私は事業者が共通価値を明確に打ち出し、世間に広めていく必要があると感じている。

 ユースタイルラボラトリー株式会社、土屋訪問介護事業所は「全ての必要な人に必要なケアを」という共通価値を持って全国展開している企業である。
 現在私は関西地方の採用担当をさせていただいているが、弊社の門をたたいてくださる応募者の方はこの理念・共通価値に共感して来てくださる方が多い。採用担当の私としてもこの共通価値のために共に邁進してくれる方を採用している。
 土屋訪問介護事業所のスタッフは少なくともこの共通価値を認識し、日々の現場や新規の利用者様の支援に入っている。謂わば共通価値を実現するために一緒に頑張っている同志だと思っている。
 現在、マネジメント職をさせていただいている私の責務は、現場支援に入ってくれているスタッフのためにもこの「共通価値」を広め、ユースタイルラボラトリー株式会社の考え方や存在の認知を高めていくことだと思っている。国や自治体にも訴えていきたい。
 一人でも多くの方に土屋訪問介護事業所の存在を知っていただき、共感を得、社員が熱い想いを持って働いていることを知ってもらえるように努力していきたいと思う。


 
【略歴】吉田政弘(1982年12月生 37歳) H18:一橋大学経済学部卒業 H18~H27: 中小企業専門の政府系政策金融機関 (H23~H24:経済産業省中小企業庁に出向) H27~H30:国内経営コンサルティングファーム H30~:ユースタイルラボラトリー㈱(現職)  高校時代に父がリストラを受けて失業した経験から経済学の勉強を志し、一橋大学経済学部に入学・卒業(H18)。  福祉業界への就職を考えるも、給与面等現実的な問題から断念。中小企業の安定・発展に貢献するという考えから、中小企業専門の政府系政策金融機関に就職。そこで様々な業界の慣行や業界特性を学ぶ。  H23~H24の2年間は経済産業省中小企業庁に出向。国会議論を通じた支援法、支援施策の策定プロセスや予算要求プロセスを経験し、国策の成立プロセスを体験。  H27には企業側に立った事業再生コンサルティングを志し、国内経営コンサルティングファームに転職。そこでの介護施設再建の経験から介護業界の発展の一助を志し、自身も介護業界に身を置くことを決意。  H30ユースタイルラボラトリー㈱と出会い、様々な重度訪問介護の現場を経験し、現在は「すべての必要な人に必要なケアを」届けるという理念の下、業界発展への貢献を目指して日々奮闘している。