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『ゲーム理論の愉しみ方』/ディヴィッド・P・バラシュ著/桃井緑美子訳/河出書房新社

『ゲーム理論の愉しみ方』/ディヴィッド・P・バラシュ著/桃井緑美子訳/河出書房新社

高山力也




ところで皆さんは「ゲーム理論」をご存知でしょうか?元々はノイマン型コンピュータ(プログラムをデータとして記憶装置に格納し、これを順番に読み込んで実行するコンピュータ。現在のコンピュータのほとんどがこの方式を採用している。)の生みの親としても知られる数学者フォン・ノイマン博士がチェスの必勝法を編み出すために考案した理論であるとされています。
あるいは’01年にアカデミー賞を受賞した映画「ビューティフル・マインド」のジョン・ナッシュ博士の「ナッシュ均衡」で知っているという方も多いかも知れませんね。ちなみにナッシュ博士はこのときの功績がもとで’94年にノーベル経済学賞を受賞しています。

ゲーム理論とは簡単にいうと、「手に入る利益が最大になるような行動を合理的に選ぶための考え方」だそうです。簡単といいつつ、やっぱり小難しく正直わけがわからないですよね。

そこで本著はゲームをいくつかに類型化して、具体的なエピソードを交えて解説しています。
例えば第三章の「囚人のジレンマ」では、冷戦時代の米ソ対立を取り上げ、お互い軍拡競争に走らざるを得ない状況を説明しています。今現在の米中の関税戦争なんかにも当てはまりそうですね。ちなみにゲームを有利に進めるための秘訣はただ一つで「上品であること」、つまり「決して自分から裏切らないこと」らしいです。 また第五章の「チキンゲーム」では、サラエボ事件における欧州各国の立場をとらえて、第一次世界大戦(=ゲームにおける「懲罰」)に突き進んでいった背景を分析していました。また米ソ冷戦時代を振り返って、「たがいに相手を大惨事の瀬戸際まで追い詰め」ようとする「瀬戸際政策」についても触れています。
チキンゲームは平衡状態を保っているうちはいいのですが、一旦バランスを崩すとお互い一気に破滅へと進むものです。本著では映画『ウォー・ゲーム』のラストに倣って「ゲームに勝つ唯一の方法は、ゲームをしないこと」としています。

我々ヘルパーの仕事は、対ご利用者様であったり対他事業所であったり、はたまた対同僚スタッフであったりと、基本的には人対人の関係性の中で成り立っています。 それぞれ違った背景や思惑をもった者同士で、うまく折り合いをつけながら関係者全員の「最大幸福」を実現させなければいけません。本著はそのための重要なヒントを与えてくれると思います。


【略歴】高山力也
某国立大学大学院を修了後、H11年に当時まだ珍しい再生医療を扱うバイオベンチャーに就職、先端医療領域での新規事業立ち上げに携わる。その後、生殖補助医療領域でのMRを経て、H19年大手ITベンダー系の事業会社に転職、バイオテクノロジーやヘルスケアを専門領域として投資活動や大学との共同研究を手掛ける。またその傍ら、医療経済などに関する見識も深める。H21年に独立、診療所や介護施設の開設支援コンサルを手掛け始める。このときの経験から介護・福祉領域での仕事のやりがいに目覚め、弊社ユースタイルラボラトリー株式会社にはH29年5月より参加。名古屋事業所や北九州小倉事業所など日本全国各地での新事業所立ち上げに関り、現在は土屋訪問介護事業所甲府を担当している。