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よきリーダー12

よきリーダー12

佐々木優(松山サービスマネージャー)



 『我が巨人軍は永久に不滅です。』
 誰もが知るあの名言を残した長嶋茂雄終身名誉監督は、往年のスーパースターであり、その人気は野球界では突出したものであった。一方、今年のペナントレースを制した原辰徳監督もまた、「若大将」という異名を持つスター選手であった。
 私はお二方ともに敬愛する大のジャイアンツファンであるが、ここで、よきリーダーはどちらかと問われれば、私はすぐさま原監督に軍配を挙げるだろう。これは、彼らが過去に指揮してきた計3000を超える試合を、40年来のファンである私が観てきた上で出した答えであり、あえて理由をここで書き連ねることは割愛したい。ひとつだけ言えるとすれば、よい選手がよいリーダーになるとは限らない、ということだろうか。もし時間がゆるせば、彼らの監督任期中の優勝回数とその割合を比べてみて欲しい。単純に比較できないとしても、リーダーとしての能力差が球団の成績にも表れていることに一理を見いだせるだろう。
 
 さて、前置きが長くなったが、よきリーダーとはどういうものなのかと考察するとき、まずは今まで私が出会ってきた、3つのタイプのリーダー像(あくまで私の解釈)を挙げてみたいと思う。

①牽引型
 そりを引くように、リーダーが集団の先頭に立ち、メンバーを牽引するタイプ。
規範とする対象が視界にあるため、集団の構成員はそれを倣うことで活動しやすく一定の成果は見込めるメリットがある反面、構成員の自律・自立度は低くなり、成長が鈍るリスクがある。

②伴走型
 集団の構成員に寄り添い、歩幅を合わせて一緒に歩くタイプ。メンバーの自律・自立しようとする姿勢やその成長スピードに柔軟に対応しながら、ともに課題をクリアしていくため親密性が生まれ、集団の凝集性は増すメリットがある反面、活動量に生産性が比例しないリスクがある。

③管理型
 集団から一定の距離を置き、後方で管理して見守るタイプ。情報をリーダーに集約して全体像を把握し、適時に助言や指示をすることで統率された効率的な活動が期待できるメリットがある反面、メンバーとの親密性が低いと、集団との対立や離脱が生まれるリスクがある。

  もしかしたらこれら以外に様々なタイプのリーダー像があるかも知れないが、ここで私が述べたいのは、これらのタイプの是非でも優劣でもない。それぞれにメリットやデメリットが予想できるように、それぞれがリーダーのタイプとして尊重、理解されるべきである。私が主張したいのは、よきリーダーとは、これらのタイプを全て兼ね備えているということに尽きる。
 
 平時、集団が安定(一定)した成長、経過をたどる時、リーダーは③管理型を採りながら、集団を観察して組織全体へのバックアップを続けるであろう。また、時として集団の一部に課題や目標が訪れた際は、リーダーは②伴走型を採りながら、メンバー個々にフォーカスして寄り添い、共に解決や成長を目指すこともあるだろう。そして、現場での事故やクレーム発生などの、いわゆる非常事態においては①牽引型を採りながら危機介入アプローチを展開し、リーダーの陣頭指揮により事態を収束に向かわせる必要があるだろう。
 以上のように、集団の状態に応じてフォームを変容させられること、これが望ましいリーダーの在り方であると考える。一方、集団が危機的状況を迎えている際に、後方の机に座って観察しているままのリーダーは無能であるといわざるを得ない。同時に、平時からメンバーのすべての活動に介入しようとするリーダーもまたしかりである。

   ところで、三隅二不二という心理学者が唱えたPM理論をご存じであろうか。リーダーシップの理論であるが、PパフォーマンスとMメンテナンスの量や比率によってリーダーの資質をはかる考え方である。私は少なからず彼の理論に影響を受けており、今までお話しした内容にも遠からずこれが関連しているので、興味のある方は一度学んでみてはいかがであろう。

 さて、最後に話をジャイアンツに戻そう。
そういう意味では、原辰徳監督は素晴らしいリーダーであるといえる。試合中のベンチワークはもちろん、FA(フリーエージェント)の選手獲得での立ち回りや、ファーム(2・3軍)を含めた選手登用の絶妙なタイミング、場内外でのコメントの強弱や逸話など、リーダーとしての魅力にあふれた監督である。先述とあべこべにはなるが、リーダーを目指される人には、マネジメントやリーダー論の本を読み漁るよりも、テレビで巨人戦を観戦することをお勧めしたいぐらいである。
 さぁ、今夜はクライマックスシリーズ決勝。今日も存分に勉強をさせていただこう。