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『車椅子での外出・移動を億劫にさせる要因』

『車椅子での外出・移動を億劫にさせる要因』

古本聡



例えば、テレビや雑誌で美味しいラーメン店が紹介されたとして、普通に動ける人ならば(つまりは歩ける人ならば)、多少その場所が遠くても、または電車を2路線以上乗り換える必要があっても、懐具合が悪くなく、また時間的に余裕さえあれば、比較的気軽に「今度の休みにでも、ちょっと行ってみようか」、という気持ちになるのではないでしょうか。はたまた、私のように酒好きな人だと、偶にはつっかけ履いて前から気になってた赤ちょうちんへGO、なんてこともあるはずですよね。
 
でも、私のように身体障害で車いすユーザーの場合ですと、なかなかそうは思えないんですよ。なぜなら、目的地にたどり着くまでに多くの障壁があるからです。
 
まず、車椅子で(自動車や電車を使わずに)どこか新しいお店へ行くこうと決めても、前以って入手しておかないといけない情報が山ほどあるのです。それは、ざっと思いついただけでも、例えば:
・そのお店までの道程(電動車いすの場合、充電が不足しないか)、路面の状態はどうなのか。
・お店までの途中で段差や坂道がどれくらいあるか。
・そのお店は階段のない1階にあるのか。
・2階以上だった場合は、エレベーターはあるのか。
・そのお店の入り口に段差はあるのか。
・その店内は車椅子で移動できるのか。
・そのお店のトイレは車椅子で入れるのか。
 のような事柄です。

さらに、電車やバスなどの公共交通機関を利用して出かける場合には、次のような困難要因が加わることになります。
・移動が円滑に行えない、トイレが使用できない等の問題があることから、外出する時の負担が大きい。
・階段、段差だけでなく、極端な人混み、狭い通路、急なスロープ(坂道)、長い距離のスロープ、通路の傾斜(傾き)などの通過も困難となる。
・駅では、券売機の設置されている場所が高過ぎたり、車いすのフットサポート(足台)が入るスペースが十分でないなど券売機での切符の購入が難しい場合がある。
・目線の高さが低いために人混みでは周囲の人のバッグなどが顔にあたることがある。
・視点が常に低い位置にあるので、高い位置にあるものが見えにくかったり、手が届かないことがある。
・上肢に障害がある場合、細かな操作や作業が難しく、エレベーターやトイレ、券売機等の操作ボタン等の操作が難しい場合がある。
・車いす(手動車いす、簡易型電動車いす、大型電動車いす、スクーター型電動車いす、座位変換形車いす等)が、特定の置き場所が決められていたり、動作できるスペースが大きく必要なことがある。
・・・等。

まぁ、気にしてても直ぐに状況が改善されるわけではないので、どんどん出かけますけどね。でも、億劫な気持ちに負けてしまうときも多々あります。正直に言えば。


【略歴】 昭和32年生まれ、脳性麻痺1種1級、6歳からの5年間余、旧ソ連の障がい児収容施設での生活を経験した最初で最後の日本人。早稲田大学商学部卒、大学院生だった25歳より英語とロシア語翻訳会社を経営。16年4月よりユースタイルカレッジにて障がい当事者としての講話を担当。