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『この国のかたち(一)~(六)』司馬遼太郎/文春文庫

『この国のかたち(一)~(六)』司馬遼太郎/文春文庫

高山力也




突然ですが、皆さんはいわゆる五科目の中では何が一番好きでしたか?

私は理工学系の出身なのですが、学校の教科ではなぜか社会科とくに歴史がとても大好きでした。覚えることだらけの暗記科目で元々は苦手なほうでしたが、確か高校のときの社会科の教師がポロっとした脱線話から見方が変わったんですね。ちなみにその社会科教師が教えて下さったのは以下のお話です。

「なぜ規模的にも圧倒的に劣る薩長勢が強大な徳川幕府を追い詰め、明治維新を起こすことができたのか?それはアメリカで南北戦争があったからである。」この時点では何のことだか全然謎ですよね?

「南北戦争が終わった1865年は、日本でいえば長州と欧米列強との下関戦争が起こった直後あたり。この当時は銃の性能が飛躍的に上がった時期でもあったが、南北戦争が終結したことによって大量の新式銃が余り、それらの多くは上海に陸揚げされた。」

「これらの新式銃がグラバー商会を通じて薩長勢に渡った。一方の幕府はフランスと組んでいたが、当時のフランスはメキシコ出兵で日本どころではなく、幕府側は火縄銃に毛の生えたものしかもてなかった。」「この銃器による圧倒的な戦力の差が、薩長勢と幕府側の運命を決定づけたといえる。」

この話を聞いたとき、遠く離れた異国の地の出来事が周り回って影響を及ぼしてくる壮大な歴史の妙に感じ入ったものでした。やがて月日が過ぎ、あの尊敬すべき社会科教師のお話には、どうも知識の出所があったらしいことを知るに至りました。それが本著の作者である司馬遼太郎です。

司馬遼太郎は私の最も好きな作家といっても過言ではありません。『竜馬がゆく』はもちろん読みましたし、『坂の上の雲』や『菜の花の沖』も今でも時々読み返すお気に入りの作品です。ちなみに苗字で何とか藤さんっていらっしゃいますよね?あれは司馬遼太郎曰く藤原氏の子孫らしいです。例えば加藤さんだったら「加賀の藤原氏」、遠藤さんだったら「遠江の藤原氏」、伊藤さんだったら「伊勢の藤原氏」といった具合で。尤も現代の日本人で、藤原氏の血を一滴も引いていない方はいないでしょうが(笑)。

こういう役には立たないけどネタとしては最高に面白い蘊蓄が本作にはいっぱい詰まっています。同じく司馬遼太郎著の『歴史と風土』も雑学好きにはたまらない一冊ですので、本著と一緒に是非トライしてみてください。


【略歴】高山力也
某国立大学大学院を修了後、H11年に当時まだ珍しい再生医療を扱うバイオベンチャーに就職、先端医療領域での新規事業立ち上げに携わる。その後、生殖補助医療領域でのMRを経て、H19年大手ITベンダー系の事業会社に転職、バイオテクノロジーやヘルスケアを専門領域として投資活動や大学との共同研究を手掛ける。またその傍ら、医療経済などに関する見識も深める。H21年に独立、診療所や介護施設の開設支援コンサルを手掛け始める。このときの経験から介護・福祉領域での仕事のやりがいに目覚め、弊社ユースタイルラボラトリー株式会社にはH29年5月より参加。名古屋事業所や北九州小倉事業所など日本全国各地での新事業所立ち上げに関り、現在は土屋訪問介護事業所甲府を担当している。