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Let’s 外出♪

Let’s 外出♪

高山力也




みなさん、今日は。甲府の高山です。

今回はALSや筋ジストロフィーを始めとする重度障害の方々の外出について触れてみたいと思います。結論からいえば、全身マヒで人工呼吸器+胃瘻の方でも、長時間の外出、ときには外泊を伴う長距離旅行も充分に可能です。やはりいつも同じ自室の同じ天井を眺めているばかりじゃ、気が滅入ってしまいますよね。たまには気分転換にちょっと遠くまで足を伸ばすことも必要なんだと思います。

とはいえ普段の日常にはない特別なことをする以上、それなりの事前準備を進めておく必要があるのは間違いありません。したがって外出した際に想定しうるイベントを、あらかじめまずシミュレートすることが肝要です。ご自宅にいるときと外出時で大きく条件の違うイベントといえば、「吸引」「食事」「排泄」あたりが真っ先に思い浮かびます。あと移動手段によっても、準備しておくべき内容は大きく変わってくるでしょう。

1.シミュレーション
まず当たり前といえば当たり前ですが、外出先について具体的に決めておく必要があります。例えばご自宅の周りを軽くブラっとと、車あるいは公共交通機関を利用した長距離移動とでは、外出に伴うハードルの高さがやはり違ってきます。例えば何か忘れものをしたとき、ご近所であれば取りに戻ることも可能ですが、長距離しかも到着時間に制限のある場合ではもうどうしようもありません。あるいはバリアフリー対応している場所なのかとか車椅子は通れるのか等、事前に確認の必要な項目は結構ございます。したがって、まず外出時の全体的な流れを一度整理した上で、事前準備にあたることが何よりも大切になるのです。

2.必要物品のリスト化
前述のとおり外出の全体像がイメージできたら、そこで必要となりそうな物品のリストを念のため作成しましょう。在宅と外出時で大きく異なる事柄をとりあえず列挙しますと、吸引に用いるカテーテルは基本使い捨てになりますし、排泄や経管栄養もしくは水分補給のための準備も特別仕様になると思います。さらに何より重要なのはあらかじめ電源を確保しておくことでしょう。多くの場合、車椅子にカー用バッテリーを積んで対応するようです。

3.リハーサル
そして普段と違った行為が必要となるのですから、当然そのための練習もやっておいたほうがいいでしょう。とりあえずポイントとして思いつくのは、「移乗」「吸引」「コミュニケーション」の三点です。特に車移動の場合、激しく振動する中で吸引や文字盤をすることになります。私は揺れる車中で、通常時はずっと頭を押さえて必要時には吸引や文字盤をやったことがあります。結構大変でした。

4.いざ本番
そんなこんなで当日の本番を迎えるわけですが、とにかく面倒なことは脇に置いてこのときばかりは、外出を思いっきり楽しんじゃってください。

私は以前ここ何年か本格的な外出をしたことのなかったALSのご利用者の外出に携わったことがあります。そろそろ陽が沈んで辺りが真っ赤に染まりかけてきた頃、ふとそのご利用者の顔に目を移したら涙をボロボロ流していらっしゃいました。この日を迎えるまで色々と大変だったのは事実ですが、心の底から「今日は来てよかった」と思ったことを今でも覚えています。

これまで外出をしてこなかった場合、慣れないことをするため最初は色々と大変かも知れませんが、在宅生活への移行と一緒で基本的に事前準備さえしっかりしていれば問題ありません。そして何より外出すると必ず「ドラマ」が産まれます。日本全国にドラマを作りたがっている重度障害者の方はまだまだいっぱいいらっしゃいますので、是非とも皆さん一人一人がそのプロデューサーになっていただければと存じます。



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【略歴】高山力也
某国立大学大学院を修了後、H11年に当時まだ珍しい再生医療を扱うバイオベンチャーに就職、先端医療領域での新規事業立ち上げに携わる。その後、生殖補助医療領域でのMRを経て、H19年大手ITベンダー系の事業会社に転職、バイオテクノロジーやヘルスケアを専門領域として投資活動や大学との共同研究を手掛ける。またその傍ら、医療経済などに関する見識も深める。H21年に独立、診療所や介護施設の開設支援コンサルを手掛け始める。このときの経験から介護・福祉領域での仕事のやりがいに目覚め、弊社ユースタイルラボラトリー株式会社にはH29年5月より参加。名古屋事業所や北九州小倉事業所など日本全国各地での新事業所立ち上げに関り、現在は土屋訪問介護事業所甲府を担当している。