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コミュニケーションツールいろいろ

コミュニケーションツールいろいろ

高山力也(甲府サービスマネージャー)



みなさん、今日は。甲府の高山です。

今回は何らかの事情で発語が困難になった方とコミュニケートするため利用できる、様々なツールやテクノロジーについてお話ご紹介したいと思います。

1.文字盤
ツールは色々とあるのですが、その中でも最もメジャーなのは「文字盤」と呼ばれるものでしょう。文字盤は文字どおり50音が並んだ大きめの板で、ご利用者に伝えたい文字を指で指してもらったり、じっと見つめてもらったりして読み取ってゆきます。比較的動きやすい「まばたき」をYESの合図にすることが多いようです。 さらにエア文字盤という手法もありまして、これは物理的に文字盤はないのだけれど、文字盤と同様の原理でコミュニケートするものです。よくありますのは予めYESの合図を決めておいた上で、例えば「ち」を伝えたいのであれば「あ・か・さ・た」(「た」でYESの合図)から「た・ち」(続いて「ち」でYESの合図)という形で読み進めてゆくものです。さらに「あ・い・う・え・お」から始まるやり方もあります。

2.意思伝達装置
「スイッチ」と呼ばれる必要最少限の動作でPCを操ってコミュニケートする手段です。日立の「伝の心」やPC上級者向けの「オペナビ」、あるいは無料で使える「ハーティーラダ―」などが挙げられます。伝えたい内容はPCのモニターに表示されます。比較的自由の利く身体の部位に合わせて、入力のためのスイッチを工夫することが重要です。スイッチの種類として、空気圧を用いたものや静電気を感知するものなど様々あります。最も簡便で誤作動の少ないものを工夫して選択する必要があるでしょう。

3.視線入力装置
かなり進行の進んだALS患者の方でも眼球の動きは最後まで比較的自由がきくことが知られています。そこでPCモニターにカメラをつけて、ご利用者がどこを見つめているかを感知することでPC入力する技術もあります。有名なものは「トビー」や「OriHime」ですね。OriHimeはロボットを自分の代わりとして動かすこともできます。

4.NIRS脳計測装置
「光トポグラフィー」という頭皮の毛細血管の活性を解析して、脳で何を考えているかを予測する技術で、まだ研究段階ですが今のところ8割程度の再現性があるといわれています。この技術と装具のマニピュレータなどを組み合わせれば、将来的には全身マヒの方でも健常者とほぼ変わらない生活が送れるようになるかも知れません。

ところで『ジョニーは戦場に行った』という映画をご存知でしょうか?ヘビメタバンド・メタリカのヒット曲である『ONE』の題材となったことでも有名ですが、地雷を踏んでしまったことであらゆる行為を奪われた兵士の絶望を表現した作品です。主人公は最後にモールス信号で「殺してくれ」「殺してくれ」だけを繰り返すことになります。
例えばある日突然、どこの国だか何語を喋っているのかわからない異国の地に、単身飛ばされた状況を想像してみてご覧ください。おそらくあるのは『ジョニーは戦場に行った』の主人公ジョー・ボーナムと同じように「絶望」の一言でしょう。それでも私たちは、五体満足であればボディー・ランゲージとかで何とか自分を意思を伝えられる可能性はあるかも知れません。しかしALSの方などにはもはやそれすら不可能なのです。

「何がなんでも読み取ってやるぞ!」という心構えで臨めば、相手の発するメッセージは大抵読み取ってやれます。ですが個人差はあるものの、人間の能力には限界があるのもまた事実です。
ご利用者さまを絶望の淵に追いやらないためにも、コミュニケーションツールの技術革新にも気を配っていただければ幸いです。