ニュース&ブログ

災害と向き合って~台風19号と私たち 序論

災害と向き合って~台風19号と私たち序論

高浜敏之



2019年10月12日に台風19号が日本に上陸し、東海地方、関東甲信越地方、東北地方が甚大な被害を受けた。

土屋訪問介護事業所としては、全国各地のマネージャーが中心となり、ご利用者様やスタッフが被害にあわないよう周到な事前対策を講じた。

幸い一人の犠牲者も生み出すことはなかったが、私が担わせていただいた災害対策本部を筆頭に対応には様々な課題が残った。

特にこのような非常事態において、災害弱者といわれる人たち、障害者や高齢者が犠牲になる可能性は極めて高い。

東日本大震災の時も、昨年の西日本大豪雨の時も、多数の障害者や高齢者の方々が逃げ遅れ、命を失った。

また、戦争や災害などの例外的状況においては潜伏していた差別が顕在化する。

今回の台風で都内唯一の犠牲者は多摩川河川敷に住まれるホームレスの方だった。

例外的状況において社会的弱者の死は仕方なさと処理されることがある。

私たちは居宅生活を支えることをミッションとしているが、施設と比べて一般家屋はインフラの強度が相対的に低く

ホームヘルパーが利用者宅に公共交通機関や車を活用していくという移動手段の脆弱性も災害時には露呈する。

しかし、このもろもろの脆さ、が露呈するときこそ、私たちのリーダーシップとチームの力が問われる瞬間でもある。

すなわちリーダーには状況を観察する力と決断力が、チームには的確かつ迅速なコミュニケーションと連帯の力が求められる。

そして経験を方法論に昇華できるかいなか、数々の失敗を教訓にできるかいなかが、日々の運営同様に、いやそれ以上に求められ続けるだろう。

私たちが出会う存在の脆さと私たち自身の営みの脆さ、この二重の脆さを超克する営みに、私たちが住まう社会全体の価値を高める可能性すら感じる。

人工呼吸器を利用されている方々にとって停電のリスクは健常者の私たちをはるかに超える。

認知症や知的障害を持った方々にとって避難所に逃げるというシンプルな行為がかなりの難易度として立ちふさがる。

共に生き、命を支えるというミッションを共有した私たちにとって、様々なステークホルダーと協働しながら非常事態における命の保障の対応策を講じていくことは、至上命題だと感じる。

まずは具体的事例を収集し、分析するところから始めたい。

全ての必要な人に必要なケアを。

この私たちのビジョンの探求は、災害など例外的状況も例外ではない。

あらゆる状況において全ての人が生きられる社会を追い求めたい。


高浜敏之
土屋訪問介護事業所GM。ユースタイルラボラトリー株式会社COO。全国障害者在宅生活支援事業者連絡会代表。慶応義塾大学文学部卒。哲学科美学美術史学専攻。20代は様々な職業遍歴を経て、30歳で重度訪問介護というサービスと出会い、福祉の仕事をスタート。それと同時に日本の障害者運動のパイオニアである新田勲さんが代表を務める全国公的介護保障要求者組合の事務局を担うことに。30代はホームレス支援、移住外国人労働者支援など社会的マイナリティーの権利回復運動にコミット。その後東京都中野区にあるグループホームでの介護職員を経て2012年5月にユースタイルラボラトリー株式会社の立ち上げに参加。デイサービス土屋中野坂上の管理者、生活相談員を経て土屋訪問介護事業所やユースタイルカレッジを立ち上げる。現在は土屋訪問介護事業所を統括しながら事業者ネットワークの発起人として活動する。趣味はボクシング、アート、文学、など。