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余命 ~突然の末期がん宣告~

余命 ~突然の末期がん宣告~

井町木綿子



初めまして、兵庫のサービスマネージャーの井町木綿子(いまちゆうこ)です。

突然ですが、皆さんは自身の余命を考えたことがありますか?
「自分は何歳まで生きるのかな?」「最後の晩餐は何が食べたい?」そんな会話をされた経験は誰しもあったと思います。 私自身、重度訪問の仕事に携わって、余命について考える事が以前より増えてはいましたが、何となくのレベルでした。

今回は、そんな私が「死」を真剣に考えた体験をお話ししようと思います。

今年の1月、慌ただしい年末・年始も過ぎ、世間のお正月気分が抜け切れていない8日に届いた健康診断結果の「要再検査」。 届いた同日にインフルエンザにかかり、何だか年明け早々嫌な年だな~と慌ててシフトの変更をしながらブルーな気持ちになっていました。

予防接種を受けていたのに、ハズレだったのかなという疑いを抱いたその日から4日間、39度の熱にうなされ、再検査の予約をすっかり忘れてしまった私に、「いつ再検査行くの?」と息子に聞かれた時は健康診断結果が届いてから2週間程経ってました。

「あ~そっか!予約入れなきゃ……面倒くさ!」
ぶつぶつ文句言いながら予約を入れ、1週間後検査に向かいました。

その日たまたま再検査に指定された病院で、午後に新規の利用者さんのインテークがあった為、兵庫エリアマネージャーの吉田さんと病院で午後に合流して向かう予定にしていましたが、検査が長引いたので、吉田さんと待合室で検査結果を待ちながら、インテークの打ち合わせをしていました。

「井町さん」と看護師さんの呼ぶ声に、元気よく「は~い」と診察室に入ろうとした時、「今日はお一人で来られましたか…?」と看護師が尋ねました。 「?上司はいますが?」との私の返答に、「お話を聞いても大丈夫な方でしたら、一緒に入ってもらう方がよろしいかと…」と看護師が言います。 私は、「…はぁ??」と思いましたが「とりあえず私一人で聞きます。」と答えました。

重苦しい空気の診察室に入ると、先程撮ったCT画像とX線画像が並べられており、医師が大きく深呼吸をして、真っすぐ私を見つめながら口を開きました。

「落ち着いて聞いて下さい…」
「進行性肺がんで、リンパまで転移してます。残念ですがステージ4の状態です…」

末期がんの告知でした。

医師の説明をこれ以上私一人で聞くのが酷だと判断されたのか、看護師さんが私の肩をさすりながら、「上司の方に入ってもらいますね」と言いました。 私はどう返事をしたのか覚えていませんが、続きは吉田さんと一緒に聞きました。

医師の話を聞きながら、私自身ショックというより夢の中にいる感じでしたが、何もしなければ3か月、もっても1年は難しいとの医師の言葉を聞いて、一気に現実なんだ!時間がないんだ!と自分でも不思議なくらい告知を受け入れた事を覚えています。

診察室を出て入院手続きを終えると、いつのまにか吉田さんが午後のインテークをキャンセルしてくださっていて、煙草を吸いたいという私に付き合ってくれました。院内は禁煙のため、裏の駐車場で二人で煙草を吸い、「めちゃくちゃ迷惑かけますが、吉田さんに仕事の引継ぎをしていいですか?」という私の問いに、「大丈夫です。井町さんは自分の事だけを考えて下さい。仕事は大丈夫です。自分のことに時間を費やしてください。」と吉田さんは答えてくださいました。

突然部下の余命宣告をリアルタイムで聞かされた吉田さんも、頭の整理ができいなかった状態だったと思います。
その状態で、私を最大限気遣っての言葉に、ただただ「ごめんなさい…」としか言えませんでした。

その日から私は自分の終活を始めました。

家族・周りの大切な友達に告知する時、私は不思議なくらい冷静に話せました。 聞かされた方は何が何だか分からない、すぐに受け入れられる話じゃないと半ばパニックでしたが、時間がないという私に、皆声を揃えて、「最後まであきらめたらあかん!大丈夫やから、絶対大丈夫やから!」と、「死」を受け入れるのが早すぎる私に、何度も何度も繰り返し訴えてくれました。

「うん。頑張るね!」
そう答えながら、『ごめんね…』何度も心の中でつぶやきました。

そして、生検・PET検査を終えた後、医師から思いもしない言葉を聞きました。
「癌細胞が出ないんです」

「えっ!!!癌じゃなかったんですか?」と喜ぶ私に、医師は「そんなはずはありません。たまたま採取した箇所で出なかっただけなので、直ぐもう1度同じ検査を受けてもらいます。早くしないと抗がん剤の使用もできない状態になってしまいます。」 と言い終え、検査設備が最先端の病院へ連絡し、私は紹介状を渡されました…。

紹介された病院で、今までの検査画像と所見を見る医師に、「ガンじゃない可能性もあるんですか?」と私が尋ねると、医師からは「井町さん、99%ありえません。現実を受け入れましょう」との答え…

心の中で、あ~そうですか!だったら早く治療できるのか緩和ケアになるのか教えてよ!と私は叫びそうになりながら検査に向かいました。

余命宣告をされてから1か月半が経ち、抗がん剤を投与できるか、緩和ケアになるかという検査結果が出る日、待合室で私は、最期をどこで迎えようかな?と考えました。病院は嫌だけど、家だと家族が大変だな~。土屋にお願いするのもあり…(苦笑)。申し訳ないという気持ち以前にスタッフに看られるのは恥ずかしいな~。などと考えて待っていると、「井町さんどうぞお入り下さい。」と看護師から声がかかりました。

診察室に入ると、医師は「私達も想定外の結果なのですが…検査の結果、癌ではなく…サルコイドーシスでした」と言いました。 「???はい???」私も想定外の答えに頭の中が整理できずにいると、さらに医師は続けました。 「特定疾患なので、生涯付きまといますがすぐ死ぬ事はありません」と。
私は『えっ、私死なないの?余命はまだあるの?』という思いが声になりませんでした。

『ってか99%間違いないって!現実見ろって言ってたやん!誤診やん!』
後で考えると言いたい事は山ほどありましたが、その時の私は、告知された時以上にこれは夢なのではないか?となかなか信じる事ができませんでした。

今もサルコイドーシスの検査は続いてますが、私は元気に生きています。
今年で最後だと思っていた桜も、蝉の声も、迎えられないかもと思ってたX’masもお正月も全部かなえられそうです。

この貴重な経験で、家族・大事な人達・「生きている」ありがたさを改めてかみしめる事ができました。
毎日後悔のないよう自分に正直に生きようと思います。

皆さんも、今生きているありがたさを、意味を、一度改めて考えてみたら少し考え方が変わるかもしれません(^^)

職員の方は再び健康診断の季節がやってきましたね。自分は大丈夫と思わず、自分の為に、周りの大切な人の為に、定期的な検診をお勧めします。