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看護師で経験したこと2~お孫さんたちとのエンゼルケア~

看護師で経験したこと2~お孫さんたちとのエンゼルケア~

成瀬絵梨



救急外来で、94歳女性が息を引き取った。
エンゼルケアの準備をしていると、「私たちも、エンゼルケアに入らせてもらえませんか?」と、お孫さんたちより言われた。
初めて言われた言葉だったので、私自身なぜか動揺した。病院関係者以外が処置に入って良いか?と一瞬いろんなことが頭をよぎった。
お孫さんたちは続けて、「実は、二人とも介護の仕事をしていまして、最後のおばあちゃん孝行したいと思いまして・・・可能でしょうか?」
私は、「ちょっと上司に聞いてきます!!」走って上司の看護師に聞きに行った。
上司に流れを話すと、今日は外来も落ち着いているしイレギュラーだけど、一緒にエンゼルケアしましょうと言ってもらえた。
お孫さんに、一緒にエンゼルケアができることを伝えると、安堵の笑みがこぼれた。

エンゼルケアの物品を一緒に準備をし、ケアを始めた。
心電図モニターの電極や点滴を外し、体液が外に漏れないようにエンゼルキットを使って処置をした。
お体を清拭していると「まだあったかいね」、「最近は、認知症もひどくて私たちのことわからなくなってね・・・」ケアを進めていくうちに、おばあちゃんとの思い出や想いを話してくれた。
最初は、悲しみと強張った表情だった二人が、話しながらケアを進めていくうちに、時折涙があふれるが、笑顔もみえるようになった。
エンゼルケアが終了して間もなく、お迎えの車が来たため、お見送りをした。
お孫さんから「本当に無理なお願いを聞いてくださってありがとうございました。最近なかなか会えなくて、おばあちゃんの介護は出来なくて心残りだったけど、一緒にエンゼルケアができて、おばあちゃん孝行が少しできた気がします。」そういわれて、病院を出られた。お孫さんの後姿が、悲しみの中にもすこし達成感のあるようにみえた。

私は、訪問看護師をしている60代の大先輩看護師から教えていただいた、とても印象に残っている話があります。それは、看取りをした後の、家族のサポートの必要性です。
亡くなる直前は、呼吸が止まりそうになったり息を吹き返したり苦しがったりを繰り返し、ご家族がその状況を見て一生懸命ご本人様の命が尽きるまで支えていきます。でも、ご家族様も一生懸命だからこそ、心が疲労してしまうこともあります。
そして、残されたご家族は、それを間近で見ていたわけですから、看取りはこれでよかったのだろうかと自問自答し、誰にも話せず悶々と心にしこりを残した日々を過ごされることもあります。そうならないように、看取り前から継続的に家族のメンタルもサポートが大切だと教えていただきました。
看取った後日も、訪問して話を聞くそうです。話すということ事態がもとても大切なのです。その中でも必ず話す内容があり「大変だったけど私たちやりきったよね」と、みんながご本人様のために一生懸命だったと、自分たちのやってきたことを認めてあげる声掛けをするそうです。
残されたご家族は、悲しみながらも生きていくわけですから、一生懸命やり切ったとういう事実を自分自身に認めてあげることによって、最初は悲しみで故人を思い出すと涙が止まらない状態から、少しずつですが、生きていたころの思い出を笑顔で話せるようになっていくそうです。
重度訪問介護では、ターミナル期の方や、現在も病状が進行中の方もみえます。
毎日の支援の中で、ヘルパーはご本人様を含め、ご家族様の身近な存在になっていることもあると思います。在宅でより良い生活ができるように、訪問医や訪問看護などコメディカルも一段となって、トータル的な心のサポートができたら、とても素敵なことだと思いますし、今後はそれが当たり前になっていくといいなと思いました。


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