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ブックレビュー 『透明なゆりかご』沖田×華/講談社

ブックレビュー 『透明なゆりかご』沖田×華/講談社

高山力也



久々にまた漫画をいってみようかと思います。ちなみに絵柄はキャッチ―ですが内容はこれもまたかなり重たいです(笑)。 去年7月に清原果耶主演のNHKドラマ10の枠でテレビドラマ化されましたので、それでご覧になった方も多いんじゃないかと思います。

ところで皆さんは90年代の日本の死亡原因で一番多いのを問われたら何と答えますか?「ガン」と答えた方ブーブーです。実は当時の死因で一番多いのは「人工中絶」だったそうですね。本作のタイトルである『透明なゆりかご』も、ゆりかごに乗れなかったたくさんの赤ちゃんに捧げるものになっております。

作中で印象深いエピソードを紹介させていただきますと、例えばこんな感じです。
何かというとスタッフにきつく当たってくる26歳初産の妊婦がいました。主人公はこの妊婦の前だと萎縮してしまい、ミスを連発してしまいます。そんなある日、看護実習で入った病院でその妊婦を見かけます。彼女の旦那さんは盲腸手術に伴う医療ミスで植物人間になってしまったんですね。先輩ナースは主人公に「患者は弱い立場にいるということを忘れないで」と諭します。
時々もしも自分が重い障害を負って、介護される立場になったらと考えます。おそらく100%間違いなく新妻をいびる姑のようなモンスター利用者になってヘルパーさんから忌み嫌われることになるでしょう。

私が生殖補助医療でMR(技術営業)をやっていたとき、とある大学病院の胚培養士から聞かされた話が今でも忘れられません。それこそ何年にも渡る長い治療に耐えてようやく子宝に恵まれながら、間もなくその産まれた赤ちゃんが病院に帰ってくるといいます。理由は親からの虐待だとか・・・。
「生命」とは何なのか?「人が産まれる」とはどういうことなのか?曲がりなりにも福祉に携わる身として考えさせられる作品だと思います。




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