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ブックレビュー 『人を奮い立たせるリーダーの力』平尾誠二

ブックレビュー 『人を奮い立たせるリーダーの力』平尾誠二

岡田千秋



南アフリカの優勝で幕を閉じたラグビーワールドカップ2019。歴史的大会となった今回の大会、桜のユニフォームに身を包んだ日本代表の活躍は、ラグビーをあまりよく知らなかった私のような者でさえも、たちまち虜にし、日本中を興奮のるつぼと化としていきました。

ご多分に漏れず、「ラグビーにわかファン」となった私は、連日のように日本代表の活躍を伝える報道の中に、「日本のラグビー界を牽引し、今日の日本代表の活躍の裏には、ミスターラグビーと呼ばれる平井誠二という男の存在がありました!」と言うコメントと共に、彼の写真が映し出された放送を見たとたん、単純に「か、かっこいい~❤」と、端正な彼の横顔に目がハート、ミーハーな私はまたまた、「平尾誠二にわかファン」になったのでした。



数々の彼の功績は、ネットをサーフィンすると知る事ができました。

伝説となった彼にあこがれてラグビーを始めた選手、彼が始めた外国人の起用から、今の世界に通じるチームになって行った軌跡、その指導者達もまた、彼の教え子達である事、ただ、その道は決して平坦ではなく、批判や罵声を浴び、理不尽の中に置かれても「人間は生まれながらに理不尽を背負っている。大切なのは、なんとか理不尽な状況に打ち克って、理想の人生にできるかぎり近づこうと努力すること。

その過程にこそ生きることの醍醐味というか喜びもある。」と言い放つ。すごいなぁ~と思いながらエピソードを手繰るうちに、私は、この人の生き方そのもののカッコよさに惹かれてるんだなと気が付きます、そして、こんなにも人に愛され、人を動かす事の出来る人の思考、そのリーダーシップを知りたくて、思わずポチッとした本が今回ご紹介する「人を奮い立たせるリーダーの力」です。

本書は、日本ラグビー界、スポーツ界の未来について平尾氏が遺してきた言葉の中から、組織をまとめていく「リーダーの力」と言うキーワードをテーマに構成されたものですが、非常に読みやすく、すーっと心の中に入ってきます。

それは、ちょうど、「よいリーダーとは、どんなリーダーだろう?」と考える事が多くなってきた昨今の自分自身への学の本であり、応援の本であり、カツを入れらた本でもありました。

リーダーのタイプには2つあり、1つは先頭きってぐいぐい皆を引っ張っていくスティーブジョブズに代表されるような牽引型、もうひとつは、どっしりと土台を固め、後ろから支えるネルソンマンデラのような奉仕型、平尾氏はさらに、人を巻き込む求心力が必要と言います。

「いまの時代、リーダーたる立場にある人間は、いかに組織の人間の力を拡大し、集結させるかを考えなければならない。そのためのリーダーシップの在り方として有効だと考えるのが、従来の支配型・強権型でもなく、奉仕型でもない、己の求心力を核としたリーダーシップなのだと思う」

人が付いてきたいと思うような求心力をもったリーダーは無敵だ。
そして人を奮い立たせる事ができるのは、強い意志、自分の持つ熱を伝える事ができるリーダーの言葉しかない。

この本の中には、本文の他に、IPS細胞研究所の山中伸弥教授や、京都伏見工業高校ラグビー部の山口監督、そして奥様が特別寄稿されています。 どのエピソードにも平尾氏の人柄があふれており、いかに人に愛され、尊敬されていたかがわかります。

山中教授は、平尾さんから教えられた、人を怒る時の4つの心得。
山口監督は、リーダーにするなら平尾しかいない、彼のリーダーとしての資質は、人の話をよく聞き、言葉だけでなく行動で示して納得させるタイプだったと。
奥様は、彼は起こってしまった事に対して、くよくよするのではなく、今後どう対処すべきかを考える人でした。と。

53歳の若さで旅立ってしまった平尾さんですが、最後まで周囲の人を気つかい、特別扱いされる事を嫌ったと言います。
この本の最後の言葉は「われ以外みなわが師」で結ばれています。人生にあった多くの出会いに心から感謝していますと。

この平尾イズムを継承した、日本代表の選手たちの個々の強さがワンチームとなって、ひたむきにボールを追いかける姿が日本中の人を感動させた訳がこの本を読んでからよくわかる気がしました。

くしくも、南アフリカ戦の10月20日は彼の命日でした。
どんな思いで天国から試合を見ておられたのだろう、、、

やはり、平尾誠二は かっこいい!!

楕円(だえん)球は、追うのをあきらめた人の元には転がってこないらしい。