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相手に寄り添い、共感する力の中身について

相手に寄り添い、共感する力の中身について

古本聡




相手を理解し・寄り添うことが絶対要件として求められる介護職。「傾聴、受容、共感、寄り添う」を通して利用者の気持ちになって考えることは介護の基本である、とどの介護士養成テキストにも述べられています。決してたやすいことではありません。

が、しかし、利用者さんの感情をその人と全く同じ立場で理解し共感することが非常に難しいことだからこそ、理性を働かせて一定の距離を保てるように意識してみることも大切なのだと思います。また、この精神的作業は、介護・介助する側にとっても、介護・介助される側にとっても、お互いに仕事を効率的に運べるように、そして必要を満たしてもらい快適に生活が送れるようにする意味で、同じくらいに重要なことなのです。

筆者は本業として小さな翻訳会社を営んできました。吹けば飛んで行ってしまいそうな規模の会社ではありますが…。そんな中、社内スタッフや外注スタッフ一人一人の人柄を見極める必要が何回もありました。大変僭越かもしれませんが、筆者が会社の経営を通して体得した、昨日まで全くの他人だった人の「共感力」、「協調力」を評価・判断する方法について、この記事で述べてみたいと思います。

相手の意思に寄り添う力、共感力が優れている人の5つの特徴
自分が言っていることは間違っていないはずなのに、なぜかスムーズに物事が運ばない…。そんな悩みを抱えている人は、ひょっとすると「共感力」が足りないのかもしれません。
「共感力」は、人の気持ちを汲んで寄り添うことができる力のことだと思います。正論を押し通すだけではなかなか人の心は動かないものですが、相手の気持ちに寄り添うことで変わってくることもあるのは事実です。
1. 他人への好奇心をいっぱい持っている
共感力の元となる要件の一つは、子どものような他人への強い好奇心だと言えるでしょう。共感力がある人は、見知らぬ人とでもすぐに打ち解けられます。そのような人たちは、他人のことを知りたい、という好奇心いっぱいで話をするからです。

ものの本で読んだことがあるのですが、通常、人は、20歳くらいになるまでに他人への好奇心が徐々に薄れていくんだそうです。しかし、共感力の強い人は少し違います。他の人の人生からは色々学ぶことが多く、その話を聞くのは興味深く、また自分自身の為になることを知っているのでしょう。

2. 想像力、創造力(クリエイティビティ)に富んでいる
能力が高く、所謂デキる人というのは、多くの場合、他人を細かく観察・分析しているものです。共感力があれば他人を理解しやすいですし、そ個から得られた情報や知識を自分の仕事に反映させやすいからではないでしょうか。

だからと言って、共感力がある人が必ずしも優秀な仕事人(私の会社の場合は翻訳者)である、というわけではありませんが、そういう人たちは常に自分が共感したものを表現したい、具現したいという強い欲求欲を持っているものです。
例え、その人が翻訳担当者ではなく、アシスタント的なスタッフであったとしても、感じたものを表現するだけでそこには素晴らしいものが出来上がるのです。

3. 言葉を使わなくてもコミュニケーションができる
通常、お互いの考えていることを知る一番効率的で良い方法は、話をすること。すなわち、言葉でのコミュニケーションです。でも共感力の強い人と話をしていると、時として話す前に思っていることを言い当てられることがあります。

なんだか超能力みたいですが、共感力がある人の多くは、会話をしなくても観察しているだけで、その洞察力で相手が何を感じ、何を望んでいるかが分かるのです。他人のちょっとした動作をよく観察し、深く分析しているからでしょう。

4. 他人との共通点を見出すのが上手い
共感力が優れている人は、誰もがどこかしらに共通点を持っていると知っています。他人の隠された、ダークな一面にも臆することなく接することができるのは、自分と相手が深い部分では同じ存在だと分かっているからに他なりません。

お互いに共通する点があると感じている人同士は、話がしやすいものです。共感力が強い人には、初対面であろうと、誰もが心を開いて話をしてみたくなるようです。そして、心地よく話をしているうちに、だんだんと先入観や固定概念が壊され、柔軟な姿勢でものを見ることができるようになっていくのです。

5. 周りに訴えかける、目に見えない力がある
共感力が優れている人は、自分の考えや思いを人に伝え、広めることに長けています。他人をよく理解しているからこそ、強い影響を与えることができるのでしょう。

共感力が強い人は、ときに、その人が属しているグループやコミュニティの中の人間関係そのものを変えてしまような変化を起こしてしまうこともあります。共感の力は、人の気持ちを受け取り・寄り添うだけでなく、自らのメッセージを発信することにも役立つのです。

共感能力とは、こちら側が相手の気持ちに共感することではありません。相手から「この人だったらわかってくれる」「この人だったら信頼できる」と感じてもらうことです。
自分の頭にふっと浮かんだ言葉が、相手の望んでいる言葉なのかどうか、一度間を取って、考えてから口にするだけで、きっと、相手にとってやさしい人になれるだろうなと私は思います。

なお、どんなに相手の気持ちを感じ取ることができたとしても、同じ体験をしていない限り「あなたの気持ちがわかります」という言葉は、安易に使わないことをお勧めします。白々しいだけですから。



(2017年4月の記事より、再掲載)

古本聡(こもとさとし)
昭和32年生まれ、脳性麻痺1種1級、6歳からの5年間余、旧ソ連の障がい児収容施設での生活を経験した最初で最後の日本人。早稲田大学商学部卒、大学院生だった25歳より英語とロシア語翻訳会社を経営。16年4月よりユースタイルカレッジにて障がい当事者としての講話を担当。