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第六回連続学習会報告 【知的障害者の〝本気“の脱施設化を考える~知的障害者の脱施設化における重度訪問介護について~】

第六回連続学習会報告 【知的障害者の〝本気“の脱施設化を考える~知的障害者の脱施設化における重度訪問介護について~】

川邉会美



2020年1月25日(土) 土屋訪問介護事業所の学習会のため、久々に名古屋まで行って参りました。 私が、この会社に入社を選んだきっかけは、介護人派遣登録事業と研修事業所を兼ね備えている。また、医療的ケアの必要な利用者様宅の在宅支援に入ることができる。障害者支援に携わることができる。など、自身が介護業界で働き続けるうえで、一生涯スキルを積んでいくことができるし、現場の仕事以外にも色々とチャレンジできそう…と思ったからです。

初めて介護の仕事に就こうと思った、20代。とにかく一人では不安なので、施設に就職して何かあった時や、分からないことは相談したり助けてもらえる環境で働きたいと思い、施設への就職を決意しました。障害者支援の道も考えたこともあったのですが、そのころの自分には、障害者支援なんて言葉も通じない、涎を垂れ流している、急に大きな声を出してしまう、常に目が離せない、めちゃめちゃ大変そう。少し差別化してしまう所もあり、絶対に自分には無理だ。と思い選択しなかったこともあったのですが、高齢者介護を経験したり、自身も色々と人生経験を積み、徐々に、人は産声を上げて生まれた時から、年老いて自力で動くことができなくなってしまうまで、何かしら人から「ケア」を受けることが必要なんだなぁと思えるようになり、五体満足でこの世に生まれ、ある程度の身辺自立ができるようになれば、あとは、人や親があれこれ言っても自分の意思があれば聞かないし、後悔の無いように自分の意思決定で、目標や計画を立てて人生を歩んでいくのが一番だと、自身の人生を振り返えり思います。また、それとは逆に、家族や自分の能力だけでは生きて行けない人たちの支援をすることに「大切な意義」をみいだすことができます。また、障害介護福祉に携わり働くことに、自身の「存在価値」がみいだされる様なところもあります。

そんな私の生涯過程の途中で、重度訪問介護という仕事に携わり、絶対的に介助者がいないと生活が成り立たない日常支援の中で、利用者や、支援に入るスッタフや、チームの間で仲間意識が芽生えたり、問題解決を進めてゆく過程に充実感ややりがいを感じられる日々を送らせて頂いている最中です。

土屋連続学習会【第6回】<知的障害者の脱施設化における重度訪問介護について>に参加するにあたり、「重度障害者の在宅支援は何処まで継続可能なのか?」「どういったケースがあるのか?」興味や疑問がある中、【第6回】のテーマも興味深い学習会だと思い参加させて頂き、日本の障害福祉の基盤となっている、イギリスやカナダ、スウェーデンの障害福祉サービスや、サービスを利用する上での制度(パーソナルアシスタンスやダイレクト・ペイメント)のお話をお聞きすることができて、とても勉強になりましたので、報告したいと思います。以下の3名の先生方、主催して下さった土屋事業訪問介護事業所のスタッフ様ありがとうございました。



【鈴木良氏】国立大学法人琉球大学人文社会学部人間社会学科准教授。北欧・北米・日本の脱施設化とパーソナルアシスタンスを研究。
【池田博実氏】社会福祉法人聖母の家、相談支援事業所「陽だまり」相談支援専門員
【久保田翠氏】認定NPO法人クリエイティブサポート・レッツ理事長、障害福祉施設アルス・ノヴァ施設長

当日のお話のテーマは、3つありました。
①日本の脱施設化の現状について
②脱施設化における重度訪問介護の可能性について

障害者総合支援法が2013年に成立され(後3年おきに見直し、改正)、その後2014年に障害者権利条約が完全宣言されました。日本の重度訪問介護は、英国のパーソナルアシスタント制を手本としています。

脱施設化について、どのように理解しているのかが重要で、結論は、厚生省の行政用語である、「地域移行」が脱施設化を意味する用語であり、入所施設を維持しながら地域生活への移行を進めることである。

カナダでは2000年に、施設が完全になくなりました。日本でも、少しづつ施設数は減少してきてはいますが、今後の超超高齢化問題や医者・看護師・介護士不足問題もあり、施設数を削減していくことは難しいのではないかと思います。

また、問題なのは、施設化においても、グループホーム、10人以下のユニット型や大・中・小規模な施設化とあり、重度障害者は大規模な施設へ移されてしまうことが多く、集団生活の苦手な重度の障害者を持たれた方の行動障害がひどくなると、抗不安薬や抗精神病薬を投与されてしまったり、場合によっては過剰投与されてしまうという現実があります。

脱施設化については、1、入居者数は減ってきているか? 2、施設の数、そのものを減らすことはできているか? 3、地域生活から施設への新規入所者数を減らすことができているのかどうか? 4、地域生活での居住の選択、自立性、当事者主導性、サービスが個別化されたものになっているかどうか? 今後も調査され指標されます。



③重度訪問介護による自立生活について
自立生活とは多様であり、大事なのは「パーソナルアシスタンス」がなされていること、自分の選んだ場所で、自分の家族や配偶者や友人と、自分の選んだ介助者を雇用するという制度を利用して、自立生活を送ることができるということ。当事者や当事者関係者、支援者が強い気持ちでサポート体制を整えられれば、誰にだって在宅生活や共同生活(ホームシェア)での自立支援は可能だということ。
現在、10000人の重度訪問介護利用者がいます。(うち、知・精200名程)

障害福祉施設アルス・ノヴァ施設長【久保田翠氏】のお話でとても共感する場面がありました。
「選択肢があるということが、人が一番豊かに生活できる源」
脱施設化において、施設が悪いというイメージが多くなりますが、そうではない。障害を持っていても集団生活が合う人もいるし、在宅1人暮らしが合う人もいる。シェアハウスで、様々な方たちと一緒に生活し、重度訪問介護を受ける人もいる。
幼少期~のソーシャルインクルージョン、インクルーシブ教育が大事で、障害を持っている人たちだけが集まっても何の意味もなく、幸せにはなれない。どのようにして、障害のある子たちを外に出していくか、地域に溶け込ませていくか、様々な人達が共に生きる社会を作ることがミッションである。

「選択の自由がある、選べる権利がある」
障害を持った子供たちと一緒に居ることは、辛いことや嫌な事ばかりではない。楽しいことも沢山ある。介助者さんを増やすには、おもしろい楽しい研修や授業を提供しなければ支援を選ぶ人は増えない。



【池田博実氏】からは、実際に知的障害者支援に携わっているご経験から、実際に在宅へ支援に入るときは、時々冗談を交えたり、たわいもない会話をしたりしながら交流するようにしているお話や、「行動障害」という言葉はあまり好きではない、「発達課題」と思って欲しい。不適応行動が表れてしまうきっかけなども、対人関係がきっかけで、対処法が見つからなければ、投薬しかなく精神病棟へ移るケースが多い。医者に相談に行っても(知的の子は苦手なんだよね。)と言われてしまうこともある。精神に障害のある人は、漠然とした不安を抱えていてそれを聞いて欲しくて相談に行くのだが聞いてもらえない、一人で抱え込んでしまうことになるが、そこへ一人の支援者が関わってしまうと、依存されてしまうので、不安になった時に、いろんなところで、いろんな場面で聞いてあげれる仲間が増えれば、その人の不安感は紛れ安心できるはず。相談支援に関わる専門職の方は、障害当事者の方が相談に来られるときは、笑顔でお話を聞いてあげてほしいですね。と、現実の厳しさと理想の支援についてお話して下さいました。



【鈴木良氏】からの総まとめとして、「権利擁護とセーフティーネット」について、日本は地域生活拠点とし、施設やグループホームを巻き込みながら、セーフティーネットを作ろうとしていますが、本格的に必要なのは、人と人とのつながりによる、セーフティーネットであり、学生時代からの関係や、長い時間をかけて信頼関係を築き上げる中で、様々な人達が関与するネットワークを構築することこそ、真の意味での親亡き後の不安を解消するセーフティーネットである。また、このような支援をしていけるのも、過去の自立支援運動の賜物であり、人員不足は、福祉業界だけはありません。他の業種や事業者と手を組み、町おこしをしてゆくのも地域の活性化につながる。というお話があり。福祉や共生社会の活動で、町や地域が活性化するのが一番理想的だと思います。次世代を受け継ぐ、30~50代の人たちの行動力が重要だと思いました。



今回の、学習会で英国の「ダイレクト・ペイメント方式」が、取り上げられていたので、少し調べてみました。
「ダイレクト・ペイメント」とは、自立支援を利用する当事者本人が、直接必要な資金を受け取り、住居や住む人や、支援者を自ら選択・決定し、サービスを受けたり、契約事業所でサービスを購入し直接サービス料を支払うというシステムであるが、日本では支援費制度(2003.4~)があるので、「法定代理受領方式」での取り扱いとなります。「ダイレクト・ペイメント方式」では、事務処理の、煩雑さがあるので今後も進めない方向である。したがって自薦ヘルパーの利用についても考慮されておらず、迷惑行為や、他害行為については、両者とも苦情相談窓口にての対応となっている。
また金銭管理については、英国では、銀行明細・小切手帳・収支記録・ケアサマリー・時間表・請求・領収書・給与支払簿等を管理し、残った資金は返金しなければならない。日本では、記録として決められた様式に押印する形式で、主体的金銭管理はない。などの違いがあります。

日本でも、他人介護加算の利用時に関しては、必要なサービス時間の金額が支給され、自ら事業所に直接契約し支払いをするという、「ダイレクト・ペイメント方式」が利用されています。少し似た支払い方式で「償還払い方式」という利用したサービスの全額を事業者にいったん支払い、後から9割分(自己負担以外)の現金の払い戻しを受ける方式があります。これは、福祉用具購入費、住宅改修費、高額障害(介護)サービス費の給付を受ける場合や特例サービスを利用した場合の対象となります。

まだまだ、知識や経験で足りないところはあるかもしれませんが、今後も英国のコミュニティケアの精神を持って、日々支援に携わりたいと思います。介護保険制度が取り入れられる以前の方が、職員も利用者も穏やかに交流できていたようにも感じられます。とても、内容の深いお話をお聞きすることができた学習会でした。


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