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デマに惑わされないで!?~品薄のトイレットペーパーを見て思うこと~

デマに惑わされないで!?~品薄のトイレットペーパーを見て思うこと~

佐藤健輔


「トイレットペーパー6パックとティッシュペーパー6パック、それから・・・・・・」
「・・・・・・ごめん意味わからない」

とある土曜日、とある利用者さんのお宅から出た私にかかってきた妻からの電話の一幕である。

普段から買い置きはしてある日用品をこれでもかと買って帰ってきてほしいと言われたのだ。
当然私は困惑する。しない訳がない・・・・・・つい一昨日買ってきたばかりなのだから。

我が家は子供が多いのでそれなりに備蓄品は多く、レトルトやらトイレットペーパー。子供のおむつまで私が定期的に買い足してある。それに我が家は東日本大震災経験家族なもので一週間ほどなら全く買い物しなくても大丈夫な状態だ。
なのになぜ?

「とにかく、お店行けばわかるからなんとか買っておいて! よろしく!」
「え? あ? はいはい」

頭の上にでっかいハテナマークを浮かべつつも、まあもう一パックづつくらいなら買っておいてもいいかと車で帰宅ルート上にあるホームセンターを目指して車を走らせた。
ここまでは良かったのだ、この瞬間までは。

「・・・・・・第二次オイルショックでもあったのか?」

いつもの帰宅ルートをのんびり車を走らせて立ち寄ったホームセンター。そこは閉店時間まであと数十分だというのに混雑していた。

老若男女、紙製品を・・・・・・正確にはトイレットペーパーとティッシュペーパーを両手に抱えて。

「一家族様二個までです! ご協力お願いしまーす!!」

店員さんが必死で混雑を整理している。
私はというと状況が理解できなくて呆然と店舗入口の障害物と化していた。

「え、ええと・・・・・・マスクの次はこれ(トイレットペーパーとティッシュペーパー)が無くなるのか?」
「あ、佐藤さんじゃないですか」
「お? 奇遇ですね。今日はラーメン屋のバイトお休みですか?」
「のんきに話してると買いそびれますよ? ゴーゴー!」

・・・・・・えええ、ご近所さんの娘さん(佐藤執筆『メンズ土屋』ご参照)まで?
一体どういうこと!?

「一体何でこんな事になったのか情報に疎いおじさんにかんたんに説明できるかな? お嬢ちゃん」
「熊本で枯渇、店から消えた画像が拡散したからです」
「・・・・・・ああ、なるほど。じゃあ帰ろうか? なんか疲れたしそこのドトールでコーヒーでも飲みません? 甘いやつ飲みたいんですよ私」
「いきなりやる気ゼロ!? どうしちゃったんですか!? 元から枯れてる人だとは思ってましたけど!?」
「・・・・・・大丈夫、説明するし無駄だよこの買物の労力と財力。それと最後の一言については後で説教な君」

なんとなくすべての疑問が解けた私は混乱の坩堝にある売り場からその娘を連れて遠ざかる。

このとき私が何を考えていたかというと簡単だ。

――『またか』

支援先でスマホを開くことは殆どないので事情がわからなかった私だが、その『おかげ』でこの騒ぎに巻き込まれなくて済んだのだ。
前述の通り私は・・・・・・私達一家は東日本大震災を経験した際にとある嗅覚が鍛えられる機会があった。

デマである。

「え!? これ嘘なんですか?」

ご近所の娘さん・・・・・・と表記するのは流石にめんどい、じゃない失礼だと思うので仮名「さやか」さん。がコーヒー片手にスマホを凝視する。
そこには売り場から消えたトイレットペーパーの棚が映されており、いかにも品薄といった言葉がツイッターに流れていた。

「そだよ。ほら、他のニュースアプリとかでちゃんとした声明が出てるよ。今見つけた」

そのまま私の手元の画面を覗き込むさやかさん、口元がひくついている。

「うえぇ・・・・・・だいぶ買っちゃった。どうしてわかったんです? 佐藤さん」
「ん? 早すぎるから」
「早い?」
「だって今朝私が仕事に出るときは『ニュース』や『ラジオ』でそんな話題一切出ていなかったから」
「ええと、すみません佐藤さん。私にもわかるように教えて下さい」
「マスクの時はわかりやすかったでしょ? まずコロナウイルスの話が出て、それから国内感染、政府の発表と前段階があってから『マスク』は無くなった」
「はい」
「だけど、このトイレットペーパーに関してはこのツイッター『だけ』で広がって、一日足らずで……『国内の在庫』全部なくなるわけ無いでしょ。無くなるんだったらとっくにニュースで頭の良いコメンテーター様の品薄状態の考察やら政府見解やらが放送されてからだよ。マスクの材料に紙が回されるなんて根拠元もない話だしね。そもそもマスクの材料はポリプロビレンだったり今は、ウレタンもかな?」
「・・・・・・言われてみれば確かに、どうしたんですか? 佐藤さんが頭良く見えるなんて明日世界終わっちゃったりするんですか?」
「理解して余裕が出ると私を貶さずにはいられない君の精神が理解できない」
「だって普段が普段なので、でもまあ。助かりました」
「そのうち落ち着くよ」
「・・・・・・それは、佐藤さんの勘です?」
「いいえ、『経験則』です」

それから数日・・・・・・

「佐藤さん言った通りでしたね。はいこれお礼です」
「おや? 別にいいのに・・・・・・ありがたくいただきますよ。でもなんで雛あられ?」
「今日ひな祭りですから」
「ああ、そういえばさやかさんも女性でしたね」
「ここぞとばかりに反撃する大人げない大人がここにいる件」
「早く人形しまわないと後悔することになりますよ?」
「なんですそれ?」
「・・・・・・え?」

大した大騒ぎにはならないこの騒動はあっという間に収束を迎えつつある。
まだ一部では品薄だったりしてるみたいだけどそれもやがて補填されるだろう。
本当の騒動であるコロナウイルス対策に頭を切り替えて日々生活していきたいものだ。



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