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介護のお仕事から学んだこと 「人の死に慣れてはいけない」

介護のお仕事から学んだこと 「人の死に慣れてはいけない」

前波優



福祉の仕事に転職して、最初に勤務したのは療養型病棟でした。無資格、未経験だったので、何も分からない状態でしたが、介護の世界に抵抗なく入れたと思います。そこの病棟は45床で、経管栄養の患者様が8割、気管切開をしている患者様が多い時は10人ぐらいいました。7年ぐらい勤めましたが、自宅に退院した患者様は1人もいませんでした。

終の棲家のような病棟で介護の基本を学びましたが、その中でも印象に残っているのはエンゼルケアです。亡くなられた方の最期を看取らせていただく、とても貴重な経験を積ませていただきました。看取らせていただいた方のほとんどは、会話ができない状態で出会った方でした。その方の人生の、ほんの一部分しか関わっていないのに、エンゼルケアを行っている最中に話しかけながら清拭していると、何とも言えない感情が湧き上がってきて驚きました。「きつかったですね」「よく頑張りましたね」患者様とご家族と言葉を交わせば交わすほど、必死で感情を抑えていました。

15年前の出来事ですが、今でも忘れない言葉を発する医師がいました。もうすぐ心臓、呼吸が止まりそうな患者様がいて、夜間だったので当直医に連絡して病室に来てもらいました。その時に、ご家族の目の前で看護師に向かって「止まってから呼べ」と言い放ち立ち去りました。残されたご家族に申し訳ない気持ちと、当直医に対しての怒りの感情が交錯しました。

この医師は論外ですが、このような経験から学んだことは、「人の死に慣れてはいけない」という事です。介護の仕事は命にかかわる仕事だと、最初の福祉の現場で感じることができたのは、自分にとって技術、知識よりもとても大事なものになりました。この気持ちを忘れずに、今後も利用者様の支援を続けていきたいと思います。