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介護のお仕事で困った事  入浴拒否

介護のお仕事で困った事  入浴拒否

池田憲治



デイサービス・特養・グループホーム・重度訪問と福祉の仕事をさせてもらいました。その中で数々の失敗を経験してきましたが、困ったことはなに?と聞かれたら思い出すことがあります。それは福祉の仕事をスタートさせたデイサービスで働いていたころの話です。

利用者のAさんは男性で補聴器を着けてはいるのですがほとんど聞こえてはおらず、紙に書いてみても「よーみえんのじゃ」と言われる。そんなAさんの入浴誘導するのですが、意思疎通にはジェスチャーしかありません。なんとか入浴という事が伝わるのですが、「昨日の夜に入ったから入らん」「朝風呂はせん」などと言われて浴室にも来ていただけません。でも、それまでに何度か入浴をされたことがあるのですが、入ってしまえば「気持ちがええわー」「ありがとう」と言われとても喜んでいただけるのです。ただ、入るまでがとても大変。あの手この手でお風呂に誘います。実は、家でも入浴は出来ておらず、ご家族の方も是非デイサービスで入浴をお願いします。と言われます。

Aさんは将棋が好きなので、入浴ではなく将棋をしましょう。ということで、浴室に誘います。浴室で将棋をしてくれることもありますが、「風呂に入るんか。わしゃ入らんで。」と言って戻ってしまうこともあります。浴室で将棋をしてくれても、これからが勝負なんです。入浴と勘付かれずに衣服を一枚ずつ、それとなく脱がしていかなくてはいけません。浴室にいる他の利用者さんも状況はよくわかっておられるので、職員に協力してくれたり、Aさんに声かけしてくれたりしてくれます。やっとのことで脱衣が終わっても、まだ気は抜けません。シャワーを浴び始めるまでは、いつ気持ちが変わるか分からないのです。脱衣場からシャワー前においてある椅子までの3メートルもドキドキです。一度「風呂には入らんで。」といわれると、もう気持ちを戻すことができないのです。

数々の難壁を乗り越えてやっと入浴していただけるのですが、成功する確率は10%もありませんでした。週に3回来られ、一日に何度も入浴を試みます。それでもやっと週に1回入ることが出来るぐらいでした。「風呂には入らんで。」も笑いながら言われるので憎めないのですが、入浴時はいつも困っていました。
今思えば、あれもよい経験となりましたね。デイサービス土屋でも入浴サービスがあると思いますが、少しでも参考になれば幸いです。


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