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ダウン症の娘 その③~出生前診断~

ダウン症の娘 その③~出生前診断~

福武早苗



2人目の妊娠は長女がダウン症だからと家族からは猛反対を受けた。
何言ってるの?産むつもり?正気?
障害を持つ子供を産むと次も同じ病気を持つ子供が生まれる確率が高くなる、産んだとしてもダウン症の子供が産まれてくるだけだから私は反対!
だいたい、こんなに弱い子が居るのにどうやって2人目を育てるつもり?
育てれるはすがないでしょう!

大病院の婦長の義母の言葉は今迄の経験値から周囲を当然の様に納得させた。
お腹の中にいる赤ちゃんもダウン症なのだろうか?本当にそうなんだろうか?断定されても私には納得出来なかった。
障害を持つ子供をわざと産むつもりで産む人なんて居ない。
産まれて来た子供だって障害を持って生まれたいと願って生まれた訳じゃない!物凄く悲しくて娘を見ているとやりきれなかった。

私は、家族の反対を押し切り産婦人科医へ出向いた。
2人目も障害のお子さんが産まれる確率は確かに高くなります。けれども絶対に次もダウン症のお子さんが産まれるとは限りません。
出生する前に染色体の異常を調べる出生前診断という検査があります。
その中で羊水検査というものがあります。

羊水がある程度増えた妊娠16週から17週の間で検査が可能です。
エコーで赤ちゃんの動きを確認しながら専用の針を使って羊膜に穴を開け、赤ちゃんに針が当たらないように細心の注意をはらい、必要な分量の羊水を採取し直ぐ針を抜きます。
所要時間は約15秒~20秒で検査に要する時間は1時間程です。
採取した羊水を培養するので結果が判るまで4週間程の日にちを要します。

私は迷わず、出生前診断を受けることをその場で決めました。
後々になりこの検査がどれ程精神的に、どれ程肉体的にも自分自身に影響するのかなんて、その時は想像出来ませんでしたから。>

16週になるまで月日はものすごく長く感じられ、もう心配で心配でたまりませんでした。
もしかしたら、もしかすると、いや、そんなことないはず。
この繰り返しでした。
そしてやっと検査の日が来て、無事に羊水を採取することに成功しました。
まずは無事終わった。

けれどもお腹が大きくなり動きも活発になると『生きてるということ』を更に強く感じるのです。
共に生きている分身の様な存在。更に愛情もどんどん芽生えるのです。
だから、検査した事への罪悪感は、日毎増すばかりでした。
もしもの時に産まない選択をした場合、動いているのに、形も人間なのに、障害が見つかっただけで抹殺するって、そんなことして良いんだろうか。
娘を差別されることを否定していながら、普通の子供が欲しいと思う自分の依怙が醜くも思え、様々な葛藤が生じてしまい、この検査は正直苦しい選択でしかなかったのです。

4週間が経過し、娘の主治医である遺伝子研究をしている教授の元へ結果を聞きにいきました。
良かったね!元気な男の子だよ!
普通は性別は言わないけど💦
先生も心配して下さってたからつい口が滑ったそうです。
良かったね!と言われた時、自分は普通の子供を生めるんだと思ってしまった。
その当時の浅はかな私でした。

あれから出生前診断は進化し、新型出生前診断(NIPT)という検査が増えています。
優生思想はあってはならないけれども病と共に生きていくことはけっして簡単なことではありません。
私を含めた誰しもが明日かもしれない何年か先かもしれないある日突然に何があるか判らないんです。
親の遺伝子に異常があり子供に伝わる場合、親が正常でも突然変異によって起こる遺伝病もある。
先天異常についていえば病気の赤ちゃんの多くは全く正常な両親から生まれており決して特別な人がかかわるわけではない。
遺伝病の中にはある程度の年齢に達してから発症するものもあるので、実際に私たちが関わっている多くの難病の方、私を含めた誰しもが『 自分自身が遺伝病に罹患しているかもしれないし、遺伝病の子が生まれるかもしれない』という遺伝子要因を持っているかもしれない。
出生前診断、あなたならどうされますか?


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