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緊急事態宣言をうけて~ユースタイルと土屋の今後~

緊急事態宣言をうけて

~ユースタイルと土屋の今後~

高浜敏之



4月7日の夕方、安倍首相が新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐための改正特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令されることが決まりました。

この事態を受け、今後私たち土屋訪問介護事業所ならびにユースタイルカレッジとしては、次のような施策を講じることにしました。

1 今回対象区域に指定された東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都道府県において実施される資格取得研修、すなわち介護職員初任者研修、実務者研修、重度訪問介護従業者養成研修(統合課程)を、とりあえず5月のゴールデンウィーク明けまで中止します。その他の地域についても状況の推移を観察しながら随時判断していきます。

2 社内感染を防止するため、マネージャー間やスタッフ間のミーティングなどは原則オンラインで実施します。また、コロナウィルス感染予防対策を徹底し、密集、密接、密閉のいわゆる三密をプライベートゾーンにおいても極力回避するよう、スタッフの意識啓発に努めます。マスクやアルコール消毒液などの不足についても各エリアの在庫を確認しながら随時補充していきます。

3 スタッフ、家族、ご利用者様などにおいてコロナウィルス罹患の恐れがある場合は行政機関や保健所など関係各所と早急に連絡を取り、その指示ならびに指導を遵守しながら感染拡大を防止するため迅速な対応を実施します。

4 私たちが提供するサービスは命を支えるサービスです。このような緊急事態においても、感染症対策を徹底しつつ平常通りサービス提供を継続します。その際、職員のメンタルヘルスを配慮し、オンラインツールなどを活用しながら、いままで以上にコミュニケーションを図っていきます。なお、社内において感染者などがでたことによりサービス提供の継続が困難になった場合に備えて、ケアマネージャー、相談員、他事業者や行政機関との連携をより一層強化します。

5 この困難を新生と刷新の機会ととらえ、社内スタッフとのコミュニケーションをさらに加速化しつつ様々なステークホルダーに積極的にアイデアを、たとえばケアカンファレンスのオンラインでの実施など、を提案し、新しいケアの形、新しい運営のスタイルをチーム一丸となって模索します。


続いてこの状況下における私的見解を述べさせていただきます。

このような非常事態においても、平素と変わることなく、ご利用者様の生活と命を支えるために淡々と現場に赴いてくださるヘルパーの皆様に最大限の敬意を感じております。

いま医療崩壊目前の現場において、医師や看護師の方々が、まさに身を賭して命を支える業務を担ってくださっています。そのミッション感覚の強度にあらためて驚きと敬意を感じますが、同様の感情を、現場を担ってくださっているヘルパーの皆様に抱きます。

私たちは定期的に社内研修などで会社理念やサービスの社会的意義についてお伝えさせていただいておりますが、そのような言葉を受け取るまでもなく、ヘルパーの皆様がご利用者様と共にある現場から学び、自ずと自分たちが担う業務の意義と価値を体現されているという事実を再確認することができました。

そんな仲間たちと共にミッションを共有し、お仕事をさせていただいているということに、あらためて最大限の誇らしさと喜びを感じております。

またこのような事態においてさらなるリスクを抱えながら生活されている障害者、高齢者の方々の不安を想像すると胸が締めつけられるような想いが湧き上がります。早急にこのウィルスとの闘いに打ち勝ち、平和な日常が回帰することを願うばかりであり、またこの日々変転する例外状況に応じて柔軟に対応し、「感染しない、感染させない」をメンバー全員で徹底的に追求し、いのちを支える営みを継続していきたいと思います。

いま、ヨーロッパを中心に医療崩壊が起き、絶対的なリソース不足の現状において、人工呼吸器を高齢者から若年者に、医療依存度の高い障害者から健常者に、付け替える、という命の選別が起きています。

私たちが闘いそして克服することを決意した、優生思想的行動が、私たちの意識を出発点として、パンデミックという例外状況において、そしてリソース不足という広義の意味での社会的経済的貧困状況において、もっとも残酷な姿で立ち現れています。

数多くの社会的弱者の命が失われ、命を救うことをミッションとした医療従事者が、命の選別をせざるをえない、一人の命を救うために、もう一人の命が失われることに加担せざるをえない状況に、私たちは直面しています。

あらためて、貧しさとは、必ず克服されなければならない社会悪だ、そう確信しました。

先日、津久井やまゆり園事件の加害者に死刑判決がおりました。加害者は、「役に立たないものは生きる資格がない」という思想を抱き、重度の知的障害を持った方々を、19名の方々の命を、奪いました。そして、死刑判決がでるまで、そして判決がでたあとも、その思想を決して手放すことはありませんでした。いま、そのような思想の対極にある、命を守ることをミッションとした医師たちが、医療崩壊の現場で、図らずも事件加害者と同様の判断、ある基準をもって、生きる命と生きることができない命の選別をすることを、その意志と希望に反して、余儀なくされています。医療崩壊という究極の貧しさの現場において。

このような貧しさが、想像を絶する悲劇をもたらしている貧困が、一刻も早く克服されることを、願ってやみません。またそのような貧困が到来しないよう、できる限りの努力を私たちなりにしていきたいと思います。

しかし、私たちは思い出さなければなりません。ケアサービスを受けることができないために、パンデミック到来以前に、命の選別を自らせざるをえない方々がいたことを。そしていまも現在進行形でそういった方々がたくさんいることを。必要なケアを受けることができないという貧しさ、その立ちふさがる事実と、役に立たない者の存在価値に対する疑念という内面化された価値観の共犯関係よって、生き延びるという選択をすることのできなかった人が、選択をすることのできない人が、たくさんいることを。人工呼吸器が足りない、ベッドが足りない、医師が足りない、看護師が足りないことによって生き延びることができない人たちがいまいるように、ヘルパーが足りないことによって生き延びることができない人たちがいまもなおいることを。

そして、前者は多数派に降りかかる出来事であるがゆえに悲劇として受け止められ、後者は社会の片隅で少数派に降りかかることであるがゆえに、多くの方々に自分とは関係ないこととして黙殺されてきたという事実に、私たちはこの恐るべきパンデミックの中で再度注目しなければならない思います。

つまり私たちが出会ってきた社会的弱者の方々は、常時パンデミック、常時例外状況、常時絶対的貧困の状況を生きていたという事実を思い出さなければならないと。

そしてこの貧困の克服こそが、私たちのビジョン、全ての必要な人に必要なケアを、の真意だと考えております。

前述したとおり、わたしたちはしばし7都道府県にて資格取得研修を実施できない事態に至りました。これには痛恨の思いがあります。私たちの人的資源は、すでに逼迫しております。新たにケアを担ってくださるスタッフを養成できないということは、新たなケアニーズに答えることができないということを意味します。もしかしたら、ケアを受けることができれば選択できたであろう「生きる」を、ケアを受けることができないがゆえに積極的に選ぶことができず、「死」を受容せざるをえない人がいるかもしれない。私たちは実際にそういった方々がいたという過去の出来事が鮮明に記憶に刻まれています。

しかし、いまは、ケアを待ち望んでいる人たちがいるという事実を忘れることなく、しばし立ち止まりたいと思います。

全ての必要な人に必要なケアを届けるために、いまできることを、いましかできないことを、おこなっていきたいと思います。

そして、チーム一丸となって、「感染しない、感染させない」をやり遂げ、ご利用者様、スタッフ一同、みんなでこのパンデミックを、生き延びたい、そう思います。