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平和学会への提言

平和学会への提言~wake up call~

安積遊歩



私は障害をもつ当事者として、平和学会のメンバーとして、昨今の情勢を見て皆さんに共有、分かち合っていただきたく、以下の提言をまとめました。

コロナウイルスの拡大は、世界の一部では「wake up call」とも言われています。
優生思想と経済至上主義によって、グローバリゼーションが地球環境を全面的破壊し尽くそうという今、コロナウイルスが出てきたのはこれまでの生活を見直すようにとの「wake up call」というわけです。

私も地球レベルでそれを見ることは重要と心から考えています。
しかし、人々の優生思想の凄まじさを思うと、自分の命が今回また、徹底的に追い詰められていると感じるのです。

医療崩壊を起こしたくないということで、政府はPCR検査の実施を、殆ど進めようとしていません。日本政府にとっては、1人1人の命がかけがえが無いという事は机上の空論のようです。そこを基点とする政治では全く無いのです。

特に、やまゆり園事件に象徴されるように、生産性の無い人の命は大事にしなくても良い、更にはすべきではない、という優生思想が、政治に吹き荒れています。

私は既に日本の医療崩壊は起きていると考えています。
PCR検査をされずにコロナウイルスで亡くなっている方も多いでしょうし、無症状やちょっとした症状では病院に行かない人は多いわけですから。何より、政府やマスコミが本当の情報をきちんと出してくる事はないと疑っています。

私は福島出身なので、2011年の福島原発事故の時にも、政府の情報の隠蔽とまやかしに憤り続けてきました。また、私自身、骨が脆いという特徴を持って生まれた為に、731部隊が行った生体実験の様な「治療」を0歳から2歳までされ続けました。
その時期は男性ホルモンの投与、そして13歳までは痛いだけで何の効果も無かった、度々の手術。身体が持っている記憶、あまりの痛みと苦しみに、14歳以降には整形外科を含め、殆どの医療から遠ざかってきました。

先にも述べた医療崩壊が既に起きているということは、私のこうした個人的な実感にも基づくものです。

このコロナの蔓延する中で、私は障害を持っているというハイリスクグループとして、どの様に感染を避けるか考え続けています。
幼い時に施設や病院で隔離されたことがあるので、隔離状況には激しい嫌悪を持っています。今は殆ど外に出ず、自主隔離の状況を続けていますが、日々交代で来てくれる介助の方を断るという事はできません。それでなくても、障害の重い方に赴く介助者は慢性的に人手不足なので、飲食業等から解雇された人たちをこの仕事にどれだけ招けるかも、大きな課題です。

障害を持ちながら平和に暮らすということは、常につねに大いなるチャレンジを強いられています。それでも今後の感染の拡大の中で、多くのお年寄りや、障害や既往症を持つ人が亡くなることは明らかでしょう。
何故なら、殆どの私たちは自分の内なる優生思想に真剣に向き合わずに、この時期を迎えてしまったわけですから。

私は、政治と福祉と平和はひと連なりのものだと思っています。平和は福祉の具体化であり、福祉は平和の日常化です。それを政治できちんと実現していくために、平和学会として早急な声明文を政府に提言してくださるよう求めます。具体的には

1 希望者全員に対する即刻のPCR検査の即時実施。

2 地域や学校によっては開校されている小中高への即時の閉鎖。

3 福祉労働者への給与の大幅な昇級を保証することによって、お年寄りやこども、障害を持つ人に関わる労働の人手不足を解消すること。

4 一向に進まない休業補償の支給を早急に実現するワーキンググループを作ること、そして来週中には支給を開始すること。

5 消費税の廃止とグローバリゼーションに基づく農業政策の完全なる見直しを求めること。

上記の提案は、平和学会として政府に(必要なら各自治体の行政にも)提言して欲しいことです。

そして、これから以下に述べることは、平和学会に所属しているお一人お一人に向けたお願いであり、提案です。

(1)5月くらいまで休校になったり、その前後もオンラインで授業することとなり、学生たち一人一人がどんなに孤独と、中には貧困で苦しんでいるかを鑑みて、自殺に追い込まれないような呼びかけ、働きかけを丁寧にしてください。

(2)その中で、このコロナウイルスが問いかけているものは命と平和の問題であると伝えてください。

全ての食べ物は動物や植物で、命そのものなのです。命の連環の中にいながら私たちは、その食べ物がどんなふうに育ち、どんなふうに自分の手元に来ているのかについて、全く無知なままに消費し続けてきました。コロナウイルスでは死ななくても、食べ物がなくなったら死んでしまいます。そのために私たちは働かなければと思わされていますが、命そのものを大事にする仕事は価値がないとばかりにどんどん追いやられています。食べ物の自給率は下がり続け、私たちの食品の殆どは輸入食品です。また、人間の命でさえ軽視し、経済のみを優先してきた社会によって、立場の弱い人に赴く仕事が全く評価されません。どんなにお金を稼いでも、お金は食べられません。今こそ、将来の仕事として農業や林業や、そしてお年寄りや子供や障害を持つ人に関わる仕事にシフトする時が来たのです。コロナウイルスは、若い人が真に命の繋がりの中に戻って行くよう伝えてくれています。

感染拡大の時期が一段落して大学に戻れるようになったら、企業戦士ではなく命に連なる仕事を求められるよう応援しています、と伝えながらオンライン授業をして欲しいのです。

そして、ここからはコロナウイルスが終息した後にみなさんにお願いしたいことです。

⑴ 私たちは優生思想を越える為に、それぞれの場で、多様性と共生から学ぶことを実践しましょう。その為には、大学の教員である事の既得権を縦横無尽に駆使し、様々な多様なゲストを1人1人の授業の場に招く事を提案します。
また、学生たちをオーガナイズして、様々なフィールドワークを行うことも肝要です。しかし、その場合は内なる優生思想を払拭するための出会いとなっているかを、きっちりと見ていく必要があります。

⑵ 専門主義や専門性という枠に自らを固定化しないこと。
平和は福祉の具体化であり、福祉は平和の日常化であることを実践して欲しいのです。平和学会のメンバーが福祉に疎いというのでは、本当の平和はいつまでも訪れません。専門家主義を脱却し、地域に根付いた研究や行動を担ってほしいと思います。

⑶ 自分が住んでいる地域、関係、5キロ、10キロ以内に平和ではない生き方を強いられている人に近接すること。そして、その人がその状況から脱出する為に、互いに何が出来るかを模索すること。その模索の中で平和と対等性を作っていくこと。

ここまではコロナウイルス終息後のことを書いたのですが、皆さんお一人お一人に早急にお願いしたいことがあります。

長々と読んでくださって、ありがとうございました。
お問い合わせやご意見等、お寄せください。

2020/04/15
安積遊歩



【略歴】
1956年、福島県福島市生まれ。生まれつき骨が弱いという特徴をもつ。22歳で親元から自立。アメリカのバークレー自立生活センターで研修後、ピアカウンセリングを日本に紹介。障害者の自立生活運動をはじめ、様々な分野で当事者として発信を行なっている。
2019年7月、NHKハートネットTVに娘である安積宇宙とともに出演。