BMI(ブレイン・マシン・インタフェース)

「Brain・Machine・Interface」の略。
BMIとは、脳と機器を「繋ぐ」ことで制御する仕組みの総称で、ハンドルやキーボードといった操縦系を介さず考えるだけで機器を動かしたり、光学機器で撮影された画像を脳内で現像したりすることができるようになります。
BMIの概念が世に出始めたのは’70年頃であるといわれております。その後’90年代半ばになって視覚や聴覚を補助する人工感覚器や、モーター駆動の義手や義足といったBMI機器の人体への応用の研究が本格化してきました。

BMIの社会的意義としては、まずこの技術によって文字どおり「手足のように」機器を動かすことが可能になるでしょう。またこれまで治療が困難と思われてきた手足の運動や言語機能に重篤な障害を持つ患者も、他者と円滑に意思疎通を行ったり、電動義手を自在に制御したりできるようになるかも知れません。※1

脳神経工学的に機器とネットワークを繋ぐためには何らかの形で脳活動を検出する必要がありますが、そのやり方として「侵襲的」なものと「非侵襲的」なものとに大別されるでしょう。
侵襲的なBMIで代表的なものは大脳皮質などに電極を挿し込む細胞外記録(SUA、MUA、LFP)や硬膜下に電極を設置する皮質脳波(ECoG)などです。高精度かつ高速での処理が可能になりますが、何れの方法でも頭部を切開する脳外科手術を伴うため臨床応用には慎重をきたす必要があります。
一方で非侵襲的なBMIとしては脳電図(EEG)や脳磁図(MEG)、それに近赤外光による脳機能マッピング(NIRS)や核磁気共鳴によるニューロイメージング(fMRI)などが挙げられますが、間接的な手法で脳波を検出するためいかにノイズを除くかが実用化のための重要な鍵となるでしょう。

医療領域におけるBMIの研究例として、現在までにジョンズホプキンス大学の応用物理学研究室が両腕を失った人の神経系に接続してコントロールできる義手を開発したり※2、カルフォルニア工科大学やMITの研究チームが頭に装着した機器で脳波を検出解析しロボットを動かす※3※4、仏グルノーブルアルプス大学病院での脳信号によってパワードスーツを動かす研究※5など興味深い成果が次々と発表されています。

※1 『ブレイン‐マシンインターフェースの現状と将来』https://www.journal.ieice.org/conts/kaishi_wadainokiji/2008/200812.pdf
※2 『人間の神経系に直接接続して動かせる義手が完成』https://www.huffingtonpost.jp/techcrunch-japan/prosthetic-hand_b_6358874.html?fbclid=IwAR2i5pnkPKYE929j2rkxaHxB-3O5EoRQ2vKybKVarP-9_jv2VgKOtME7SAo
※3 『念じただけでロボットアームが動き出す「ブレイン・マシン・インターフェイス」』https://wired.jp/2015/01/27/next-world-7/
※4 『「思う」だけで操作できる次世代ロボット』https://www.facebook.com/bouncy.news/videos/460985954286081/UzpfSTE0MTczMzU4MTI6MTAyMTM5MTU3ODY5OTQ5NDg/
※5 『四肢まひの男性、脳信号で制御するパワードスーツで歩行 研究』https://www.afpbb.com/articles/-/3247937?fbclid=IwAR0FSH2SrOjH8-2TFJUghwSLBjlYh8rnik4essibxhW0avnSkWbpV6Ih7rY