DPC制度

DPC制度とは「Diagnosis(診断)」「Procedure(手順)」「Combination(組み合わせ)」の頭文字をとったもので、あるいは日本名で「医療機関別包括支払方式」などともいわれており、要は急性期病院の一回の入院に対する診療報酬の処理のしかたのことです。
これまでは関連する各医療行為の診療報酬を積み重ねてゆく「出来高払い」が主流だったのですが、無駄な投薬や検査、何より在院日数の削減をはかるため(ひいては日本の医療業界における、無駄な経済的または人的リソースの浪費を抑え効率化するため)、OECDの勧告に基づき日本でもH15年に「包括支払い制度」が導入されました。 日本で採用した包括支払い制度は、欧米で先行していた「DRG/PPS」(「疾患別関連群包括支払システム」)を参考に開発された日本独自の包括支払方式で、DRG/PPSが一入院あたりで保険点数が決められるのに対し、DPC制度では入院一日当たりで点数が設定されるところに特徴があります。
まずH10年に国立病院を始めとする10施設の病院で試験運用された後、H15年の閣議決定を経て本格的に導入され始めました。 中医協資料※1によれば、H22年現在において1391施設もの病院でDPC制度が導入され、これは全一般病床(約91万床)のうちの約半分強を占めているそうです。
DPC制度は2桁の主要診断群(MDC:Major Diagnosis Categories)から始まる計14桁のコードで表され、同一コードの医療サービスに対しては手術やリハビリなどの一部の医療行為を除いて基本的に同額の診療保険点数が割り振られます。
ただしDPC制度は医療費の高騰を抑える目的もあって導入されたため、DPC係数といわれるインセンティブも設定されており、その病院における平均在院日数が短いほど診療報酬の単位が上がるように調整されます。※2
病院がDPC制度を導入するメリットと致しましては、医療の質を評価しやすくなることや医療の効率化をはかることで収益性も上げられることなどでしょう。そのため大学病院や地域のいわゆる基幹病院のほとんどで、現在このDPC制度が導入されているようです。
※1 『DPC制度(DPC/PDPS※)の概要と基本的な考え方』https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000uytu-att/2r9852000000uyyr.pdf