感情労働

肉体労働、頭脳労働に続く第三の労働形態といわれる。肉体労働が体を張る労働、頭脳労働が知識の提供と新しいアイディアの創出に係る労働だとすると、感情労働は他人の感情を平静に導く労働といえる。フライトアテンダント、コンシェルジュ、コールセンター、介護職がその代表格。

フライトアテンダントは、飛行機内で客の安全を確保する保安員としての一面もあるが、見ず知らずの100名を超える他人が密室かつほぼ自由のない状態で長時間空の上で過ごすというストレスフルな状態下で、客同士の衝突を起こさないようにする役目も大きい。

コンシェルジュは主にホテルや百貨店での業務であるが、ソロの客とマスの客の両方の視線が同時にある中で、どちらの感情にも優劣をもたらさないようにする配慮が求められる。また、どこまでが業としてのサービスで、どこからが業としてのサービスではないという線引きが求められる。

コールセンターは問合せ対応業務がメインである。しかしながら客が問合せをするという状況は、その客がそもそもサービスを満足に利用していなく、取扱説明書での説明も不十分であったため、人に聞かないと分からないということに起因する。よって、まずは客のストレスを緩和し、その後本来の質疑応答業務にとりかかる必要が生ずる。

介護職は、日常生活動作に介助が必要な人に対して、他人が労働として助ける仕事である。しかしながら、すべてを介助することはその人の残存能力を奪うことにもつながるため、その人が決定したことに対して、その人ができないことを補助する、という意識が介護職側に求められる。また、介護を受ける人のことを、サービスを利用する利用者と表現する。

どの種類の感情労働においても必要とされるのは礼儀正しさ、気遣い、その場の対応力である。技術や知識にそこまでの専門性は求められないが、他人に対して常に冷静でないと務まらないため、労働者自身の精神状態に注視を要する。