大脳皮質基底核変性症(CBD)

パーキンソン症状(筋肉の硬さ、運動ののろさ、歩行障害など)と大脳皮質症状(手が思うように使えない、動作がぎこちないなど) が同時にみられる疾患。身体の左側または右側のどちらか一方に症状が強いのが特徴だが、典型的な症状に乏しく、診断の難しい場合が少なくない。

国内では3,500人程度の患者数が推計される。発病年齢は40歳代から80歳代にわたるが、ピークは60歳代。男女比はほぼ同数で、過去の病気や生活歴で発病に関係するものはない。遺伝性はない。

患者さんの脳では前頭葉と頭頂葉に強い萎縮が認められる。顕微鏡的には神経細胞の細胞が脱落し、神経細胞やグリア細胞の中に正常ではみられない異常構造が現れる。なぜこのような変化が起こるかはわかっていない。

典型的には最初に片方の腕が思うように使えない(失行)や運動ののろさを自覚することが多い。
続いて同じ側の足も重くなり歩行が不自由になる。やがて反対側の腕と足にも運動障害が起こり、転びやすいなどの症状が現れる。

ときには言葉が出にくくなったり(失語症)、 片方の空間を見落としてしまったり(半側空間無視)する。認知症が現れることも少なくない。

腕を持ち上げたり動かすときに素早いぴくつき(ミオクローヌス)や手足に持続的に力 が入ってしまう(ジストニア)症状が現れるケースもある。これらの症状には初期から左右どちらかに症状が強いがみられることが特徴だが、左右差がない場合も少なくない。CTやMRIで大脳の萎縮にも左右差があることが特徴とされている。

上記のような典型的な症状のほかに、進行性核上性麻痺のような症状を呈するタイプ、失語や認知症が主症状となるタイプなどさまざまなタイプが知られるようになってきた。

現在の医学では進行を止める治療法はなく、ゆるやかに進行する。進行の度合は患者によって異なるが、発病後寝たきりになるまでの期間は5~10年が多い。

特効薬はなく、パーキンソン症状に対してパーキンソン病治療薬(レボドパ、ドーパミンアゴニスト、アマンタジンなど)を用い、ある程度の効果を認めることがある。

腕が著しく硬く、肘で屈曲してしまうことがあるが、よい改善策がない。手足の素早いぴくつき(ミオクローヌス)にはクロナゼパムが有効である。

動きが悪くなる上,何もしないと体の力はどんどん落ちてしまうため,積極的に体を動かすことが大切である。徐々に飲み込みが悪くなるので、むせて肺炎を起こさないよう飲み込みの状態に合わせた食事形態を選択したり、口腔内を清潔に保つことが大切である。


参照URL
難病情報センター 大脳皮質基底核変性症(指定難病7)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/291