シェーグレン症候群(指定難病53)

シェーグレン症候群は、涙腺、唾液腺をはじめとする全身の外分泌腺に慢性的に炎症が起こり、外分泌腺が破壊されてドライアイやドライマウスなどの乾燥症状が出現する病気です。 本来、細菌やウイルスなどの外敵から身を守るための免疫系が自分自身を誤って攻撃する、自己免疫という現象が重要な原因のひとつと考えられています。

これまでの研究によって、様々な自己抗体(自己抗原に対する抗体)の出現や、自己反応性リンパ球(自己抗原に反応するリンパ球)の存在が明らかになっていますが、何故自己免疫が起こってしまうのかについてはいまだ完全には解明されていません。

ーシェーグレン症候群の病型ー
シェーグレン症候群は、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなど他の膠原病の合併が見られない「一次性シェーグレン症候群」と、他の膠原病に合併する「二次性シェーグレン症候群」に分けられ、その比率は6:4で「一次性シェーグレン症候群」が多いとされています。さらに一次性シェーグレン症候群は病変が涙腺、唾液腺などの外分泌線に限局する「腺型」と、病変が外分泌線だけではなく全身の臓器に及ぶ「腺外型」に更に細分され、7:3の比率で「腺型」が多いとされています。
国内の推計患者数は約7万人とされており、女性に多い疾患で、主な発症年齢は40~60歳代とされています。

ー外分泌線の障害による異常 (腺症状・乾燥症状)ー
(1)ドライアイ
涙腺からの涙液の分泌量が減少するために、眼が乾く、異物感、眼の痛み、眼のかゆみなどの症状があらわれます。重度の場合は眼に入った異物を涙で洗い流すことができず、角膜や結膜が傷つき、視力が低下します。
(2)ドライマウス
唾液腺からの唾液の分泌量が減少するため、口が乾く、口がネバネバするといった口腔乾燥感があらわれます。症状が重い場合には、口腔内の痛み、味覚異常などの症状もあらわれます。また、唾液が減少するため、むし歯や歯周病が多発することがあります。
(3)ドライアイ、ドライマウス以外の腺性病変
ドライアイ、ドライマウス以外にも、鼻の乾燥、耳下腺の腫れ、性交痛などの外分泌線障害による症状があらわれることがあります。