在宅のひとつ一つ、1日を繋ぐ

堀江 友紀


介護職経験6年目、介護施設経験4年半、親族の介護経験半年、ヘルパー2級を取得してかれこれ十余年…

排泄介助、入浴介助、食事介助…これが3大介護です!これさえ覚えれば何でも出来ます!なんて教わったヘルパー2級講座。

専門学生時代…
段々と何も出来なくなっていく祖父の介護を経験しながら、祖父のようにカッコ良かった、健康な老人を少しでも増やす為に自分はなにが出来るか、介護予防というワードが流行っていた時に介護予防運動指導員に興味はあったが正直、介護職、ホームヘルパーになるなんて思いもしてなかった。なるんであれば訪問介護は絶対やりたくない。料理出来ないし(当時は)、人の家に行ってあれこれして、時間がきたから帰るなんて無理だ。そんな思いがありながらも採用を一番にしてくれた有料老人ホームになんだかんだで就職した。

当時は…
介護施設に入っている方もその施設が家なのだ。住民票も移行する。終の住処だ。それは理解はしていた。集団生活なのだから我慢を強いられる。致し方ない。そう思っていた。アセスメントからその方の背景、人生を読み取り、リスペクトを込めて介護させて頂く…。この時間に起こさせて頂かないと全員が起きられない。この時間に入浴させて頂かないと決まったプランに沿った入浴回数を入れない。今は待って頂かないと他の方が転んでしまう。

何も疑念は無かった。

現在…
在宅支援、重度訪問介護を支える1人になり、考え方は変わった。

別に施設介護を否定する訳ではない。超高齢化社会を支える為には絶対的に必要である。遡って考え始めれば、やれ核家族だ、社会の仕組みがなんだと止まらなくなるので、脱線しないように気をつけますが…

どんな方にもあるのが家です。

“家”の概念の中には
ー生活の中心となる場所ー
という記載があります。
それが大豪邸でも、マンションでも、アパートでも、居候先でも…極論ですが段ボールの家でも。そこは安心で一息つける場所な筈なんです。

家に在り続けたい気持ち。

ここに寄り添えるのは、冒頭で書いた3大介護が完璧に出来る人間ではないと思う。もちろん技術は大切で安心を届ける為に必要な要素。蔑ろにはしないでほしいです。技術や知識があって無駄な事はなに一つない。

ふと家に帰ってきた時に、靴を脱ぎ、荷物を置き、着ていた服を洗濯カゴに入れ、部屋着を着て、冷蔵庫にあるお酒を取り出し、食事を用意し、テレビをつけて、どかっと椅子に座った…

このコラムを書いている私は今ここなんですが。笑

こんなリラックスした状態で下記のような事を書いて、反感を買わないか若干、不安になってきましたが笑

この安心感を…
今あなたがほっと一息ついた時間。その安心の一時を繋いでいるのが私たちの仕事だ。もっとあの時こうしたら。こうした方が良かったんじゃないか。皆さん現場で何かあった時はいつも感じていると思います。でも大元を忘れないでほしい。安心できる一時を繋いでいる事を自信に、誇りに思って頂きたい。誰にでも出来る事ではない。

ひとつ一つに反応して、一喜一憂するのも悪いことでは無いですが、ひとつ一つに揺さぶられない、俯瞰の視点を持って、ひとつ一つを繋いでいけたら素敵だなと思います。


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