私が何故介護の仕事に惹かれたのか

板垣 鉄男


私は今から約5年程前に潰瘍性大腸炎という病気を患いました。
どういった病気かというと、大腸に炎症が起こり、下痢や腹痛、発熱や血便といった症状が現れ、酷くなると大腸に穴が開き最悪の場合死に至ってしまう病気です。
この病気は国の難病指定にされており発症の原因がわからなく明確に治す治療の方法がない為、今現在では完治する事がない病気となっているのです。
この病気の厄介な所は、症状が出たり治ったりを繰り返す事で、元々お腹が弱かった私は病院嫌いもあって症状が出てたにも関わらずずっとほったらかしにしていました。
その結果、症状が酷くなり病院に担ぎ込まれる事になってしまいました。
病院での検査の結果、潰瘍性大腸炎の重症と診断されそのまま入院する事になりました。

とりあえず症状が治まるまでは絶飲食となり点滴と投薬治療がはじまり自分としては「これで安心だ、病院で治療してくれるならすぐ治る」と思っていたのですが、1週間経ち2週間経てども症状が改善されず、その間私の体は痩せ細り、体力気力を奪われ精神的に追いつめられて「このままずっと点滴だけで生きていくのか、それともこのまま死んでしまうんじゃないか」と悪いほうにしか考えられなくなっていました。
しかし、そんなドン底な私を救ってくれたのが、友人や家族、医療従事者の励ましや手助けでした。
治らない状況でもそういった周りの方々の支えによって少しづつ「頑張ろう」という活力が出てきたのです。

最終的には、1か月半の投薬治療で治らなかったので、大腸の全摘出という結果になってしまったのですが、でもこの病気のおかげで得られたものが凄く大きくて、普段当たり前のようにしている食事、睡眠、排泄、体を動かせる事のありがたみ、周りの人の支えの大切さやありがたみ、そしてこの介護の仕事に興味を持ち、惹かれる事となった医療従事者の方々の手厚いケアでした。
術後、体を動かせない私の体を丁寧に拭いてくれたり、衣服を着替えさせてくれたり、歩行の介助をしてくれたり、といった介助を受けた事により凄く感動し、感謝し、そして、いつか自分が元気になったら体の不自由な人の手助けをしたいと強く思ったのです。
とはいえ、まずは自分の体が健康じゃなければならないので、とりあえずは治療に専念し、約2年の間に手術わ入退院をくり返し、やっと日常生活ができるようになったのです。
しかし、すぐに介護の仕事をするには凄く迷いがありました。「こんな体の自分が人の手助けなんかできるだろうか?」周りの人に相談しても「介護はしんどいでー、その割には給料安いしなー」というネガティブな自分の気持ちや意見で介護の世界に入る事に躊躇していました。
そんなモヤモヤした気持ちを持ちながらズルズルと2年程バイトをしていたのですが、気がつけば体力も病気をする前程に戻っており、それに伴い気持ちも前向きになる事ができたのです。
その時、あらためてあの時介助してもらった時の感謝、感動がこみあげてきて「よし、行動しよう」と介護の世界に入る事を決意したのです。

ネガティブな気持ちが全く無くなった訳ではないですが、やはりそれ以上に体の不自由な方々の手助けをしたいという思いが強くなり、行動にうつせる事ができたのだと思います。
今はまだ、スタートラインに立ったばかりですが、これから沢山勉強して、1人でも多くの人をケアできるように頑張っていきます!

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