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娘との交換日記 菅野真由美

娘との交換日記

菅野真由美



年が明けて早いものですでに半月が過ぎる。

最近ひょんな事から17歳の娘と交換日記をすることになった。
きっかけは占いだ。
娘の買った占いの本に彼女の今年の幸運の鍵に「交換日記」と書いてあったらしい。たまたま会話でその話を聞いて「じゃあ私とやってみる?」と言ったらすんなりとOKされた。実は彼女と交換日記をするのは二度目だ。

彼女が小さい時、フルで働いていた私は帰宅後に子供と話す時間があまりなく、交換日記をすることで乗り切った頃がある。子供は学校であったこと、特に嫌だったことはタイミングを失うと中々話してくれない。後になりその出来事を知って、何故話さなかったのかと聞くと「お母さんが忙しそうだったから」と言われ何度も私は母親失格だと自己嫌悪に陥った。

そんな時に、過ごしてやれない時間をどうしたら良いかと考え思いついたのが、一つは物理的な存在として犬を飼うこと、もう一つは精神的な存在として交換日記をすることだった。

寝るまでに私あてに書いておき、翌朝までに私がそれに返事を書くというのが当時のやり方だった。
幼い時は気持ちを文字にするのがまだ出来ず、悲しい出来事も寂しい出来事も全て「いやだった」という表現であり、その嫌だった度合いはよくわからなかった。
反対に楽しかったことも嬉しかったことも「よかった」とという表現しかなく、文字からは良かった度合いを推測するのは難しかった。
でもそこは子供。段々と絵が加わり、そこに色が加わり始めた。楽しかった日は明るい色付けで、辛かった日は暗い色付けでと変化が多くなっていった。

成長とともに感情が文章で表現出来るようになると段々と絵はなくなり、出来事の報告だけではなく自分がどう思ったか、感じたかが日記からはあふれる思いが読み取れた。
子育てに於いて会話をする時間が世の母親に比べると短かったとは思うが、それを埋めるべく文字のやりとりをした事は私自身も楽しかったし貴重な思い出になっている。

そんなやりとりもいつしか無くなり、反抗期に突入した頃は何を聞いても話さなくなった。
親の存在すら面倒くさがられ、しつこく聞けば部屋にこもりシャットアウトされた。
今の時代、連絡事項はラインで送られてくる。確かにこちらも文字のやりとりだが、なんとも味気ない。
いずれ終わる反抗期と思っていたが、程度は良くなっても未だ娘は反抗期だ。必要以上に踏み込むとシャットアウトされる。

高校生になり忙しく、私もますます忙しく、会話どころか顔さえ合わさない日も増えた。
日々何を思いどんな事があったのかなどわからない。
大人になるとこんなものかなと寂しい思いでいた。

が、そんな娘から交換日記のまさかのOK。
私には衝撃的だった。

ドキドキしながら「書いたよ」と渡された日はちょっと感動で胸が熱くなった。
中身は何ということなく日常的な内容だったがまだまだ始まったばかり。
これから色々考えや思いをここで聞ける事を楽しみにしている。
以前の時とは違い、大人として対等な関係で返事を書こうと思う。
いつまで続くかわからないこの交換日記、まずは人生の宝物になるよう大切にしたい。

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