「利用者さんとこんな話ししてさー」

佐藤凌一


数年後何してるだろう昔よく考える時がありました。きっとその時の僕には全く想像つかない今を過ごしています。

僕は友人の勧めでこの土屋訪問介護に最初は非常勤として入社しました。ただ誘われてから入社に至るまで約1年くらいかかりました。自分に出来るのか、命の危険もあるし荷が重いなぁなんて考えてなかなか踏み出せずにいました。そんな僕を誘ってくれた友人はよく利用者さんとのエピソードを話してくれました。すごく楽しそうに話すんです。

「利用者さんとこんな話ししてさ〜、」

「利用者さんもこれ好きでさ〜」

このギャップに少し驚きました。辛いことばかりでもないのかもしれない。やってみようかな。と段々と心動かされていきました。これが僕の入社までの経緯です。

あれよあれよと言う間に気づけば利用者さん宅のドアの前でした。凄く緊張していたのを覚えています。そして入室しご挨拶したらとても快く挨拶を返してくださり、緊張が少しほぐれたのを覚えています。そこから研修がスタートしていきました。先輩スタッフはとても朗らかな雰囲気で支援を勧められていて時に談笑をし笑いあってるのをみてまた少し介護への見方が変わりました。その後少しずつ参加していく中で難しさなども感じました。まず最初に感じたのは体交の難しさです。一見人を横に向けるだけですが知識がなければ何倍も重く感じるし利用者さんも苦しそうなのです。コツを教えてもらい再度実践すると不思議なくらい軽く上がりました。ほんの少し達成感があり頑張れそうかもと思いました。こんなことの繰り返しで研修がが進んでいきました。

研修が進んでいき次第に利用者さんともお話しさせてもらえるようになり色んな話をさせていただきました。最初好きな食べ物から始まり日頃あった面白エピソードも話してくださいました。そしていつの間にか朗らかな雰囲気で笑いあっていました。この頃にはたいぶ介護への印象が変わっていました。もちろん技術的な面も終盤だったので最後の難関のリフト移乗がありました。支援内でもっともケガのリスクがある介助です。最初は先輩スタッフに手取り足取り教えて頂きました。ご本人にもアドバイス頂き少しずつ出来るようになっていきました。初めてできた時はご本人からもお褒めの言葉頂き、嬉しさと達成感があったのを覚えています。この頃には介護への印象は180度変わりました。これが初めての現場で僕が独り立ちするまでです。

あれから一年、僕は今もその利用者さんの支援に行かしていただいてます。そしてぼくは今友人にこんな話をします。

「利用者さんとこんな話ししてさー」

「利用者さんもこれ好きでさー」

きっと知らないことや見えないものには不安がつきまといますが一歩踏み出す勇気を介護と利用者さんを通じて学ばせて頂きました。

数年前は全く知らなかった介護。今僕は親しい友人にこう言います。

「ねえねえ介護やってみない?」っと。

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