地域生活を支える ~コロナウィルス騒ぎの渦中で~

渡邉由美子



コロナウィルス報道については見解は分かれるところであると思うのですが、私の視点で恐縮ですが記してみたいと思います。

私たちは日々、人が出入りしてくださることで生命そのものを維持している生活です。それができなくなると生活そのものが成り立たなくなってしまうので、コロナウィルスに限らず、台風、地震、雪など、通常の生活と違う事態が少し起これば、脅かされてしまう生活となります。そう考えていけば、脆弱な基盤の中で暮らしを営んでいることになります。何かあったときにどうするかを考えていてはこの生活はできないと言っても過言ではありません。

先週までは直接的な生活にはコロナウィルス問題は影響がなく、毎日の感染者や死者報道を大変だなと思う程度でした。しかし、今週に入って、障がい者団体の定例会の中止が相次いだり、使用する予定の会場の閉鎖が始まったりして、生活に対する直接的な影響を感じずにはいられなくなりました。特に政府より学校の休校を早期にするよう発表がでてからは、主婦層を中心として家に一人で置いて来れない子供がいる家庭のお母様がヘルパーとして働くことに困惑する状況が出てきています。そのような方が介護に入っている枠を中心に介護に来られないとか、いつもより時短で働きたいなどの具体的要請が耳に入ってくるようになりました。(今のところ土屋訪問介護事業所の介護者からはそのようなことを聞いてませんが……)

具体的影響が出始めています。政府は感染を食い止めたい、もちろんそれは必要なことだしやらなければならないことだというのはわかります。でも、それによって生活が破綻しかけてしまう国民もいるということを認識していただきたいと、報道を見ていてつくづく思います。私が関わりを持っている障害をもつ仲間の中には生活の変化がとても苦手という特性を持つ知的障害を伴う人たちも少なくありません。日課のルーティンがいかなる理由にせよ崩されてしまうことでパニックや混乱、食事が食べられなくなったり、昼夜が逆転してしまったりなどの、取り戻すことが難しい生活への悪影響が及ぼされていくのです。特別支援学校はただ単に勉強を教える場所ではなく、障がいを持つ人たちが地域で安定して生き続けていくために必要なセーフティーネットにもなっているのです。一律に要請を出すのではなく、個別性の対応が可能な発表の仕方をしてもらえると現場の混乱は避けられると私は思います。

もちろん障がいを持つ当事者の中には、基礎疾患を併せ持つ人も少なくないし、コロナウィルスによる社会的パンデミックが起こってしまっては収拾がつかなくなる。そうなってからでは遅いということは前提に置きながらも、もう少し賢い、動揺を招かないやり方があるのではないかと私には思えてなりません。

インターネットで様々なことが報じられ、世の中からマスクのストックが消えた次は、トイレットペーパーなども品薄なのだとか。マスクは当分品薄状態が続くようなので、どうしても必要な人がつけることができるように、品物が出てきても買い占めるようなことはしないでおきたいと思います。今、品薄なものでも十分な供給はできるので冷静な買い物を、とニュースが一生懸命後追いで報道を流し訂正したりするを見ていると、コロナウィルスに対して、過敏になりすぎていると言える現象もあるのでは……。と思わざるをえない今日のテレビや新聞各社の報道ぶりです。

とにかく、正しい情報を正しく得て、今必要なことはなんなのか、個人が冷静沈着に行動し、必要なことはいつも通りに行っていくことも必要だと思います。コロナウィルスに限らず感染症対策は、マスクがあればマスクの着用、手洗いうがいなどを繰り返しやっていくより他はないようですから、アルコール消毒も含めて、徹底した意識と対策をしていきたいと思います。

本当に早く事態が収束に向かって欲しいと思うと同時に、障がいを持つ人たちの暮らしが必要以上に脅かされることがないよう対応を迫られる事業所は、普段と変わらぬ障害や難病を持つ人たちとの関わりを継続していって欲しいと思います。コロナウィルスに限らず、地震や災害時も同様のことが言えると私は思います。普段からの人と人との絆の構築がいかなる時でも地域生活を続けることができる原動力となることを信じて、コロナウィルスなんかに負けてたまるかの精神で強く自立生活を続けていきたいと思います。

このコロナウィルスの報道が激化している陰で、桜を見る会の問題やその他大きな国政の問題がなかったことのようになっているのもとても気になる側面の一つだと、私は思えてなりません。なにを国はもみ消そうとしているのか……。国政の運営として適切に行われていき、国が平常な国民生活を守るようなことをしっかりとやっていって欲しいと切に望む国民の一人です。事なかれの場当たり的なコロナウィルス対策をするのではなく、責任の持てる対策として、国が方針を打ち出して欲しいと思います。

そして皆さん、多くの仲間が普段と変わらず、あなたの支援を待っています。できうるかぎりの万全な対策をして、必要以上に報道に踊らされることなく支援を続けてください。よろしくお願いいたします。

渡邉由美子
1968年6月13日生まれ 51歳
千葉県習志野市出身
2000年より東京都台東区在住
重度訪問介護のヘルパーをフル活用して地域での一人暮らし19年目を迎える。
現在は、様々な地域で暮らすための自立生活運動と並行して、ユースタイルカレッジでの実技演習を担当している。

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