重度訪問介護との出会い

櫻井涼太


私は現在、土屋訪問介護事業所新潟にて重度訪問介護をさせていただいております。
 私は以前まで、上水道配管工事及び土木作業、山崎製パン工場でのラインと仕込み作業、教科書販売、お米の精米補助及び商品発送と、様々な業界を転々としておりました。なので、未資格・未経験としてこの業界に入ったことになります。
 ではなぜ、この重度訪問介護事業にトライしてみたいと思ったのか、またこの仕事を通して何を得て、何を学んだかをお話しさせていただきたいと思います。

 私は社会に出て、高校で手に入れた建築・配管の知識を活かして人の役に立ちたいと思い、水道工事をしておりました。ですが、そこでは自分の思うようにうまく働けず、現場も過酷な場所であった為、耐え切れずに辞めてしまいました。その後はやりたい事がわからなくなってしまい、アルバイトをして何となく過ごす日々…。そんな中、お米屋さんの店長さんと相談をしていた時です。「人の役には立ちたいが、何をどうすればいいかわからない」と、私は相談をしました。するとその店長さんと周りの方々は、「介護業界に入ってみたら?君ならきっと向いている」と答えてくれました。
 それから私は、自分と相手の為になる良い仕事だと介護業界に興味を持ち、一人一人とじっくり向き合って仕事をするという重度訪問介護の仕事をやってみたいと考え、現在に至りました。
 2月に研修を受けてその後、体交や口腔ケア、排泄処理といった基本的な事を教えていただいた後、初めて現場へと足を運びました。

そこで私は衝撃を受けました。見慣れない人の姿…見慣れない道具や機械の数々…そのあまりの情報の多さに唖然としました。そして今自分の前にいる利用者様は想像をはるかに超える苦労をしているのだと、一目見てすぐに理解しました。
 私は利用者様に対して、何をしてあげればいいのかが緊張も相まってわからなくなってしまいました。ですが、そんな私に対して上司の方と利用者様とその家族の方々はとても温かく接してくれました。最初は緊張のあまりうまく介助ができませんでしたが、上司の方と利用者様のフォローもあり、未経験の私でも段々とできるようになっていきました。
 そして仕事をしていくうちに、私の中でも変化が起きていきました。利用者様と関わっていくうちに「障害」という物が気にならなくなった事です。ただ、形が違うだけ。普通の人と何ら変わりない。この重度訪問介護という仕事は、いい意味で「障害」のイメージを壊してくれました。それと、人の役に立てるという喜びをしみじみと感じます
仕事が終わった後、いつも感謝の言葉とねぎらいの言葉を利用者の方々と家族の方はかけてくれます。私はこれが当たり前の事とは思っていません。この世の中には、「やってもらって当たり前」といった考えの人が少なからずいます。ですが、利用者の方がは毎日かかさず言ってくれます。その一言を聞くとやってよかったと心から思います。これが介護職のやりがいなんだとひしひしと感じました。

 それともう一つ、相手の立場になって物事を考える事の大切さをより一層学ぶことができたと思います。利用者様の「常識」は、私たちの「常識」ではない。利用者様は何を求めているのか?何に気をつけてほしいのか?これからしっかりと一人一人に対して考え、実行すること。これがより良いサービスの実現に繋げることが出来ると、仕事を通して学ぶことができました。

 最後になりますが、周りの皆様の善意を感じながら働ける環境にいることを心から嬉しく思います。これからもより良いサービスを利用者様に提供できるよう、日々精進して参ります。拙い文章ではありますが、最後までお読みいただきありがとうございました。


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