~社会参加の事例~ 第一弾

髙野元

「テクノロジーを活用した重度障がい者の社会参加の事例を紹介します!」第一弾 

 当社のご利用者様である髙野元さんは、神奈川県の共生社会アドバイザーとしてご活躍されていますので、その事例をご紹介させて頂きます。

 神奈川県は、県議会とともに「ともに生きる社会かながわ憲章」を策定し、ともに生きる社会の実現を目指し、取組みを進めています。

■ 私たちは、あたたかい心をもって、すべての人のいのちを大切にします
■ 私たちは、誰もがその人らしく暮らすことのできる地域社会を実現します
■ 私たちは、障がい者の社会への参加を妨げるあらゆる壁、いかなる偏見や差別も排除します
■ 私たちは、この憲章の実現に向けて、県民総ぐるみで取り組みます 

平成28年10月14日 「ともに生きる社会かながわ憲章」

 その取組みの1つとして、令和元年11月に筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者で、企業経営者でもある髙野元さんを共生社会アドバイザーに委嘱しました。髙野さんは、分身ロボット「OriHime」を活用したテレワークにより、共生社会の実現のための県の諸施策等に対する助言を行っています。

 近年、本人や家族・支援者の努力はもちろんのこと、医療の進歩や各種法制度の改善、支援機器の進化もあり、病気やケガなどで身体が思うように動かせなくなっても、社会参加ができるようになってきました。

【髙野元さんのある1日のスケジュール】
 在宅で訪問看護・介護などの支援を受けて生活している髙野元さんの1日のスケジュールをご紹介します。



 髙野さんは病気の進行に伴い、身体を動かしたり、声を出して会話することが困難です。
そのため、日中の多くの時間は自宅で過ごしており、食事や睡眠、看護やリハビリを受けている時間以外はパソコンをして過ごす時間が中心です。パソコンではインターネットを活用してメールやSNSの他、テレビの視聴や音楽鑑賞などもしています。

【髙野さんが実際に活用しているテクノロジーやサービス一覧】
・視線入力
・分身ロボット「OriHime」
・プレゼンソフト「HeartyPresenter」

≪髙野さんの声≫
 ALSの進行によって、身体の自由が奪われていくなか、私が最も怖かったことは、身体が動かなくなることよりも、『社会とのつながりが切れてしまうこと』でした。

 私はすでに胃ろうを作り、気管切開をして人工呼吸器をつけています。最重度の障がい者になりましたが、テクノロジーを活用しながら積極的に社会参加に取り組んでいます。今後も自分の活動を積極的に発信して、テクノロジーを活用することで社会参加できることを伝えていきたいです。

≪支援者の声≫ 髙野さんを支援している作業療法士の濱口陽介さん
 私たちリハビリテーション専門職の主な役割は「自分で行えること(活動)を増やすこと」「様々な手段を用いて、社会とつながりを持てるようにすること(社会参加)」に目を向けて、ご本人と一緒に歩んでいくことです。
 髙野さんは、ALSという病気のために活動・社会参加それぞれに制限を受けていますが、福祉用具や機器・支援者・制度・テクノロジーを最大限活用して「社会参加」を継続されています。進行していくこの病気の症状に合わせて、補う必要があることを家族・友人・知人・ヘルパー・支援機関などへ「発信」し、新たに補完する方法を皆で模索・確立し続けていることがポイントなのだと思います。

 また、ここで重要なのは「発信」を支えるコミュニケーションとアクセシビリティの保障です。日常的なこと(考え、感情、想いなど)を受信・発信する双方向のコミュニケーションと、情報や社会参加の場などへアクセスし易いように環境を整えることです。
 髙野さんは、「アナログ」や「デジタル」のテクノロジーを活用しながら、このコミュニケーションとアクセシビリティの方法を確立し、家族やヘルパーなどの支援者の手を借りながら「行きたい所に行き、そこで役割を持ち、社会にも居場所を作ること」を実践しています。

次回、第二弾では「視線入力」についてご紹介したいと思います。



※神奈川県「ともに生きる社会かながわ憲章」ポータルサイトHPより引用、一部抜粋
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/m8u/tomoikitec.html



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