よいヘルパー16

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井上輝寿



うーん、かなり難しいお題である。製品のように形がある物ではない中で答えを見つけるのは容易ではないし、色々と考えてみたが未だ正解にはたどり着けていないのが素直な感想です。

ただ、良いヘルパーに必要な要素としては「柔軟さ」が求められるとは思っています。現場においてよく「介護に正解はない」と言うフレーズを耳にします。私自身初めて入った現場で研修初日に手技や手順を教わる中でそう言われ、「えっ、でもこっちは正解が知りたいんだけど」と思った事を覚えていますが、その後様々な現場に入り私自身も素直にそう思える様になりました。

現場で同行していると時々そのないはずの正解を決めて支援に携わろうとするスタッフ(他事業所含めて)に出会う事があります。言い換えると完全なマニュアル化ですね。もちろんベースになる支援の流れや手順や手技、やって良い事悪い事等々ある程度決まり事は必要ですが、日々利用者様の体調も変化し機嫌の良し悪しもあったりで常に変化・変更のある現場においては不測の事態も含めてこの決めつけた正解はかえって足枷となり、本来提供すべき良い支援に繋がらないのではと感じる事があります。

随分と昔以前勤めていた会社の上司からその時は部下の指導についての話の中で次のように言われた事があります。「世の中には色々な人がいて色々な考え方がある。全部を右か左・白か黑・〇か✕で判断するのは危険だし白黒はっきりしないグレーな部分で会社や世の中は成り立ってるんだよ」と。
当時の私はこの仕事の進め方はこれが一番合理的で正しい、とやや頭でっかちになって押し付け的な指導をしてた面があり、その点を戒める意味でこのように助言してくれたんだと思います。

ちょっと意味合いは違いますが、この言葉は介護についても当てはまるのではと考えています。
私もそうですが人間どうしても自分の考えは肯定したいですし、他者からの違う意見や考え方はそうすんなりとは受け入れ難い所はあります。でも、まずはご本人含めて他者の声に耳を傾ける必要が介護の現場においては多々あると思います。

色々な利用者様やご家族、環境の中にあって求められる事や提供出来る支援は様々です。こう言う場合はこうだと決めつけず自分の考える正解以外の他の正解の可能性を否定せずに、かつ安全とルールに配慮し他者と連携・協力を取りながら、と複雑極まりない現場においてはそれぞれにしなやかに対応出来ないと続かないでしょうし、そもそも「介護に正解はない」とは理解しながらも、でもやっぱり良い支援の為に正解を探すという矛盾の無限ループの中で働く上でも最初に言った「柔軟さ」は良いヘルパーにとって重要な要素だと思っています。


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