電動車椅子サッカーについて

車椅子サッカーの写真

宮尾勝巳


電動車椅子サッカーという競技をご存知でしょうか?

電動車椅子の足元に専用のバンパーを取り付けて、そのバンパーで専用のボールを押しながら進み、車椅子を回転させることでボールを蹴ります。これは、普通のサッカーで言うところのドリブルやパスと同じで、相手のゴールまでチームのメンバーで繋いでいき、最後に思いっきりのパワーとタイミングでゴールを決める。どちらが多くゴールを入れたかで勝敗が決まる競技です。直径約33cmの専用ボールを使いバスケットコートと同じぐらいの広さのフィールドが戦いの舞台となります。1チーム4人で戦う競技で、時速10kmの電動車椅子でフィールド内を縦横無尽に駆け巡りボールのスピードも速いため想像以上に迫力が感じられます。電動車椅子サッカーの魅力は、なんと言っても脳性麻痺筋ジストロフィー、頸椎損傷等々障害の種類や程度を問わず同じフィールドでプレー出来るところにあります。試合中は障害が重いから軽いからと言って特別ルールはありません。みんな同じルールが適用され危険なプレーはファールになります。選手の中には手で電動車椅子が操作できず足や顎等で車椅子を操作している人や、普段の生活で人工呼吸器をつけながら過ごしているような障害程度の人であっても電動車椅子の操作できて「やる気」と「自己責任」を持っていれば参加可能なスポーツです。



私が電動車いすサッカーを始めたのは、地元から東京に出てきて直ぐの頃、もう10年以上前になります。私は九州の宮崎県で生まれ育ち、生まれつき脳性麻痺で両手足と言語に障害がある。20代前半までは腰を左右に振るような形で歩いていたが、俊敏な動きが出来ず何かの拍子に体に力が入ってしまい、手足が意図しない動きをして手が上にあがってしまう事があった。若い頃に「自分も何かスポーツをやりたい」とも考えたが、地元の近くで練習している団体が少なく、陸上はまともに走れないから無理、バトミントン無理、アーチェリー無理、と消していった結果、車いすバスケのイベントを見に行った事があります。しかし機敏な動作が出来ない自分に高くそびえるゴールへボールを投げる事が出来るはずもなく断念。自分に出来るスポーツは無いと諦めていました。


電動車椅子サッカー選手の写真


私は、普段の歩き方が原因で20代前半に股関節の軟骨がほぼ無くなり東京での手術をきっかけに上京、医師から「あまり歩かないように。外出時は車椅子を使って下さい。」と言われ、電動車椅子を使うようになりました。退院後住んでいたアパートの近くで電動車椅子サッカーの練習をやっている事を知り見に行きました。最初は、「なんか一杯電動車椅子がボールを追いかけて走っている!!これなら自分にも出来るかも。」と言うのが感想で、即体験をさせてもらいました。プレーしているうちにボールに触ってパスやキックをするのが楽しくなり、数回練習に参加して以前所属していたチームに入団しました。


電動車椅子サッカーチームの画像


練習や試合の中で、コントローラーを少し倒して繊細な操作を必要とする事がありますが、私は頭では「ここはゆっくり。」と分かっていても、体に力が入って付随的にコントローラーを全部倒し混んでしまう時があります。そうなると、高い確率でキックミスをして、他人の車椅子にぶつけてファールになってしまいます。一番悔しかったことは、大きな大会でシュートできる絶好のチャンスに、コントローラーを握りしめたまま緊張して手が上にあがってコントローラーを破壊しゴールを逃したことです。「あー、今だったのに悔しいなー」と思う瞬間です。その様な状況の中で、私は自分の思い通りの場所にボールを蹴ることが出来た時や、ゴールに繋がるプレーを出来た時、また、自身でゴールを決められた時の喜びは、言葉に出来ないほど嬉しくて、やりがいを感じられる瞬間です。

電動車椅子サッカーは、練習をする事によって体力と気力の維持に繋がると思います。試合中は体位が崩れないように障害に応じてシートベルト等で体を車椅子に固定していますが、回転キックの際に生じる遠心力が体にかかり、それに加えてボールを蹴った際の衝撃が加わるため体力は必要です。また、相手が強く負けそうな試合でも、「負けたくない」という気力が無いと奇跡は起きないし確実に負けてしまいます。



コロナ渦以前には、年に1回「選手権大会」という全国大会が行われていました。全国の電動車椅子サッカーチームが一堂に会し日本一を決める戦いが繰り広げられます。私も昔所属していたチームで何度か出場しましたが、初めて出場した時に周囲の強さに驚かされたことを今でも覚えています。数年前までは、各ブロックで全国大会に出場するための予選会が行われていましたが、近年は予選会を行わず日本電動車椅子サッカー協会に登録しているチームで出場を希望するチームは参加できることになりました。また、上記の協会とは別に都道府県毎に電動車椅子サッカー協会があり、各地の協会が主催する大会が行われていますが、現時点ではコロナで全部の大会が開催されていません。

私は現在チームで選手兼コーチをしており、私自身も今後更に高みを目指し日々頑張っていくと共に、再度選手権大会に参加出来るような強いチームにしていきたいと考えています。
最後に、私が所属するチームでは選手の欠員が生じ、現在、一緒にプレーをする選手を大募集しています。未経験の方も参加出来るようにサポート致します。
また、事前にお申し付け下されば体験用の車椅子もご準備できますので、この記事で少しでも興味を持たれた方は、ぜひご連絡ください!
お待ちしております。

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