とある大学教授の講義が本になり大変売れているそうです。
買って読んでみたが哲学的であまり腑に落ちなかった。
恐らく自身の事として受け止められないからなのではないかと推測しました。
ともあれ、少なくとも私は、生まれた瞬間から死に向かっている事は確かだ。
小学4年の時に、祖父が亡くなったのが死について私が一番考えたタイミングなのを覚えています。
大好きな人間の死により、私はしばらく死が怖くて寝つきが悪かったのを覚えています。
なんでとか何の為にと考えたが、小学生の頭で結論に至るはずもなく、前向きに楽しむしかないと思い得体の知れない恐怖から逃げた気がする。
得体の知れない事象には勇気が必要で、それは生きるという事にも関連する。
何が起こるかわからないから、それを学ぼうとする知識欲は人間らしさとも言えると思っています。
以前、鬱を抱えた介護者と常に車イスを要する夫の現場に携わった。
事前に情報があった事から、訪問の際には少し多めに時間をとって介護者と会話する時間を設けていた。
精神疾患には浮き沈みがあると理解していたが、1年くらい訪問し、楽しく会話して帰った翌日に奥様は自ら人生を終わらせた。
生と死の境目は一瞬だと感じた。
孤独死の大半は玄関に向かって倒れるとテレビのドキュメンタリーで聞いた。最後は誰かを求めるからそうなるらしい。
あの奥様はどんな気持ちで最後を決断したのか、何を求めた結果だったのか、私達が気が付かないうちにトリガーを引いたのかもしれない。
いずれも私には答えを出すことは出来ずに今も私はこの仕事に携わっています。
せめて、言葉の重みと生死を問わず他者への敬意だけは忘れずに生きていきたいと思っています。
※高橋 亘プロフィールはこちら