地域生活を支える  重度障がいを持っていても人生を楽しみたい!!

渡邊由美子

今は世の中的にもお休みムードが漂うものの、今年はエンジョイしてはいけない様なコロナ禍の夏です。そんな中でも外出ではない楽しみを求めて模索しています。

私は介護用リフトを使って、介護者の手を借りてシャワー浴や入浴をします。その入浴の時に、身体を清潔に保つという目的以外の付加価値を色々考えています。いつもより早めの時間にお風呂場に入り、ぬるめのほとんど水に近いような温度のお湯を浴槽にはり、スマートフォンで好きな音楽をかけたり、動画を見たり、時には飲み物も持ち込んでメッシュのスリングシートにすっぽり包まれたままプール気分を味わってみたり、外出から帰ってあまり暑いとクーラーの効いた部屋でアロマ液を少したらして足浴したりしながら、なんとか家の中で介護者もとても大変な状況ではなく、夏を満喫する手段を編み出して楽しんでいます。

外に出かけることがとても好きだった私には、家にいるということがとても苦痛です。そこで、変わり種の沖縄そば風そうめんをユーチューブやクックパッドを駆使して調べながら、好みの味を作り上げて楽しんだりしています。障がいがある仲間の中には、口から物を食べることが難しい方もいらっしゃるので、一概には言えませんが、グルメは人生最大の楽しみなので、手料理で工夫したり、時にはテイクアウトを上手に使って生活の経済を圧迫しない程度に楽しんでいます。

いつでも行きたいところに行くことが可能であれば、テイクアウトより出来立てをお店で食べる方が美味しいですが、仮にコロナ禍が終息してもお店の段差や間口、テーブルが動かせるかなど行きたい気持ちを阻む要素はたくさんあるので、お店には物理的に行けない時は、美味しそうなものをチェックしてテイクアウトしています。便利な時代になったと文明の力に感謝です。

お店に食べに行く時のもう一つの最大の問題は、お店の中に車いす用トイレはないということがほとんどなので、美味しい料理と一緒にお酒や飲み物を遠慮なくガブガブというわけにはいかず、トイレのことを気にして水分摂取を控えたりしなければならないことが悩みの種です。自宅なら介護用リフトもあるし、すぐに用が足せるので気軽に本当の意味で解放された気分の中で楽しむことができます。それでもコロナが早く収まって以前のように普通の日常が戻ってくることを望むばかりです。

それから、いくつになっても女性は女性であることを捨てたくはないのですが、どうしても日常生活の全ての事を他人の手を借りなければなりません。一人暮らしをしていて、今のように外出もあまりできない現状です。となると、ゆったりしていて涼しくて着せやすい洋服を選び、生活にメリハリをつけるためにパジャマから洋服に着替えはしてもあまりパジャマと変わらない服装をしてしまいがちになります。ユニバーサルデザインの洋服も開発されてはいますが、どうしても、まだ既製品の洋服と比較するとズボン一枚、スカート一枚がこんな値段するのかと思うと、躊躇してしまう私がいます。

ファッショナブルな洋服を着てみたい、髪の毛を肩の下まで長くしてみたいという、女として当たり前の思いがもっと理屈ではなく、単純に叶えられるようになってほしいと思います。どうしても人の手を借りて着たり脱いだりしなければならないのだから、お洒落感より着せやすさを重視するように幼い頃から両親に叩き込まれていると、今しか着たいものは着られないから、たまにはスカートも履いてみたいと思いながら一枚も持っていない私です。何をするにも私には名前の前に、重度障がい者という注釈がついてしまいます。そのため、他人からどんな目で見られるのかということも気になってしまい、冒険できません。

それと同様のことは、お化粧やピアス、マニキュアなどのことにも共通しています。先日機会があって、介護者に久しぶりにマニキュアを塗ってもらいました。なんだかそれだけでテンションが高くなり、誰に見せる訳ではなくてもウキウキと一日楽しい気分で過ごすことができました。普段塗り慣れないので、自分の手を何度も見返して夏の気分を味わうことができました。何気ない日常でも介護者の粋な計らいに感謝しました。上記に上げたように、日常の出来事を、少し観点を変えて、楽しむことで、気分転換や生きるモチベーションをあげることはいくらでもできると感じる今日この頃です。

どうしても障がい者だから地味に生きなければならないような気分になることが多く、実際そのようなことを露骨に言われる社会であることも事実です。何につけ、優生思想が口には出さなくてもはびこる世の中を強く楽しく生き続けるためには人生生きてて良かった、こんな一工夫で楽しめるのだから、もう少し世の中に抗いながら生きてみようと思えるために、人生を大切にし、上手に楽しんでメンタルを保ちながら自分らしい人生を仲間とともに暮らし続けていきたいと思います。

さてと、スカートは履かせにくい、介護しにくいと言われても、この夏一着着てみようかと思います。


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