こんにちは。安積宇宙です。
あっという間に年末になってしまいました。
みなさん、年末はいかがお過ごしですか?
ニュージーランドは日本と比べて季節が反対なので、今は夏です。
ですが、私は南極にも近い(といっても船で三日間くらい)南の方に住んでいるので、今日も最高気温は十二度くらい、朝から暖炉に火を入れるほど。
まだ夏は遠そうです。
大学に通っていた間は、夏になると長期休暇があるので、それを利用して、日本に帰っていました。だけど、先週大学を卒業したので、母がこちらに遊びに来ていることもあって、今年は帰国せず、ニュージーランドでのんびり年末年始を過ごす予定です。
この機会に、大学を卒業するということについて考えてみようと思います。
ユネスコの統計によれば、世界で、障害を持った女性の識字率はたったの一%となっています。
文字が読める人が一%しかいないのなら、大学を卒業した人は、〇.〇〇〇…一%くらいでしょうか?確かな数字はわかりませんが、非常に少ないのは、確実です。
そんな中で、他国の大学に行くなんて、極めて珍しいことです。
私がそれができたのは、私の能力ではなく、私の周りにそれを可能にする資源とサポートがあったからだと思っています。
残念ながら、まだこの世の中は学歴で人を判断してしまうところがあります。だけど、大学に行ったからと言って、大学に行ってない人と比べて偉いなんていうことは、全くないと私は思っています。
なので、先週大学を卒業した身でいうのはなんですが、大学に行くかどうかは、個人の選択で決めればいいと思っています。
だけど、大学に行くのが個人の選択であるためには、大学に行くことが人々の選択肢の一つでなければいけません。
選択肢になるためには、経済的サポート、そして、いろいろなニーズへのサポートがなければ難しいでしょう。
障害の種類によって、そのニーズのあり方も変わってきます。
車イスに乗っている私のニーズは、目に見えてわかりやすいものです。
入学した時から、障害者支援センターのスタッフさんと繋がって、大学の寮や教室が私にとってバリアフリーであるよう、打ち合わせを重ねました。
そのおかげで、一年の頃に住んでいた大学の寮の入り口は、ボタン式の自動ドアになったり、もともと階段を使わないといけないところであるはずだった授業の教室の位置が変更されたりしました。
ニュージーランドは、法律で大学の建物全体がバリアフリーでなくてはいけないとなっているのですが、現実は、残念ながらまだまだ階段ででしかアクセスができないところもあるというものです。
そして、私のようなニーズではない場合、サポートを受けにくい場合があります。
例えば、勉強すること自体には問題ないけれど、文字の読み書きに困難がある失読症という症状があります。そういう人たちのために、授業中代わりにノートをとったり、テストも、特別な配慮が考えられる必要があります。
勉強することが、なんらかの形で難しいことを、本人のせいにしてしまうのではなく、理由を見つけることで、サポートができることがあります。
これは、障害に限らず、すべての人に当てはまることだと、私は思います。
自分が、どんな時に困難を感じるのか。その困難はどこからやってくるのか。
それを突き詰めることにこそ、サポートが必要です。
自分でできることがいいとされる社会のメッセージの中で、何かをするのが難しいと認めること自体、難しいことだってあります。
だけど、すべてが完璧にできる人なんて、誰一人いません。
私は◉◉をするのが難しいんだ、って表現することができて、初めてサポートを得られ、そこから、選択肢が広がることがあると私は経験を通して感じてきました。
私が大学で学んだことはたくさんありますが、自分がどんなサポートが必要か認識することと、実際にサポートを得ることの難しさと大切さは、学んだことの大きな一つでした。
大学に行くということに関しては、もっと社会的・政治的なレベルで変化が必要ですが、個人的なレベルで、自分の難しさを共有しあい、サポートしあえるようになれば、もっと多くの人がいろんな選択肢を持てるようになるのではないかなと思います。 年末年始、家族や友人と過ごす時間の中でも、いろんな難しさがあるかもしれませんが、その難しさとちょっと向きあい、どんなサポートが可能か、考えてみるのもアリかもしれません。
それでは、よい年末年始をお過ごし下さい◎
【略歴】
安積宇宙(あさかうみ) 1996年石丸偉丈氏と安積遊歩氏の元に産まれる。
母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱いという特徴を持つ。
ニュージーランドのオタゴ大学、社会福祉専攻、修了。現在、ニュージーランド在中。
共著に『多様性のレッスン 車いすに乗るピアカウンセラー母娘が答える47のQ&A』(ミツイパブリッシング)。
2019年7月、NHKハートネットTVに母である安積遊歩とともに出演。
あっという間に年末になってしまいました。
みなさん、年末はいかがお過ごしですか?
ニュージーランドは日本と比べて季節が反対なので、今は夏です。
ですが、私は南極にも近い(といっても船で三日間くらい)南の方に住んでいるので、今日も最高気温は十二度くらい、朝から暖炉に火を入れるほど。
まだ夏は遠そうです。
大学に通っていた間は、夏になると長期休暇があるので、それを利用して、日本に帰っていました。だけど、先週大学を卒業したので、母がこちらに遊びに来ていることもあって、今年は帰国せず、ニュージーランドでのんびり年末年始を過ごす予定です。
この機会に、大学を卒業するということについて考えてみようと思います。
ユネスコの統計によれば、世界で、障害を持った女性の識字率はたったの一%となっています。
文字が読める人が一%しかいないのなら、大学を卒業した人は、〇.〇〇〇…一%くらいでしょうか?確かな数字はわかりませんが、非常に少ないのは、確実です。
そんな中で、他国の大学に行くなんて、極めて珍しいことです。
私がそれができたのは、私の能力ではなく、私の周りにそれを可能にする資源とサポートがあったからだと思っています。
残念ながら、まだこの世の中は学歴で人を判断してしまうところがあります。だけど、大学に行ったからと言って、大学に行ってない人と比べて偉いなんていうことは、全くないと私は思っています。
なので、先週大学を卒業した身でいうのはなんですが、大学に行くかどうかは、個人の選択で決めればいいと思っています。
だけど、大学に行くのが個人の選択であるためには、大学に行くことが人々の選択肢の一つでなければいけません。
選択肢になるためには、経済的サポート、そして、いろいろなニーズへのサポートがなければ難しいでしょう。
障害の種類によって、そのニーズのあり方も変わってきます。
車イスに乗っている私のニーズは、目に見えてわかりやすいものです。
入学した時から、障害者支援センターのスタッフさんと繋がって、大学の寮や教室が私にとってバリアフリーであるよう、打ち合わせを重ねました。
そのおかげで、一年の頃に住んでいた大学の寮の入り口は、ボタン式の自動ドアになったり、もともと階段を使わないといけないところであるはずだった授業の教室の位置が変更されたりしました。
ニュージーランドは、法律で大学の建物全体がバリアフリーでなくてはいけないとなっているのですが、現実は、残念ながらまだまだ階段ででしかアクセスができないところもあるというものです。
そして、私のようなニーズではない場合、サポートを受けにくい場合があります。
例えば、勉強すること自体には問題ないけれど、文字の読み書きに困難がある失読症という症状があります。そういう人たちのために、授業中代わりにノートをとったり、テストも、特別な配慮が考えられる必要があります。
勉強することが、なんらかの形で難しいことを、本人のせいにしてしまうのではなく、理由を見つけることで、サポートができることがあります。
これは、障害に限らず、すべての人に当てはまることだと、私は思います。
自分が、どんな時に困難を感じるのか。その困難はどこからやってくるのか。
それを突き詰めることにこそ、サポートが必要です。
自分でできることがいいとされる社会のメッセージの中で、何かをするのが難しいと認めること自体、難しいことだってあります。
だけど、すべてが完璧にできる人なんて、誰一人いません。
私は◉◉をするのが難しいんだ、って表現することができて、初めてサポートを得られ、そこから、選択肢が広がることがあると私は経験を通して感じてきました。
私が大学で学んだことはたくさんありますが、自分がどんなサポートが必要か認識することと、実際にサポートを得ることの難しさと大切さは、学んだことの大きな一つでした。
大学に行くということに関しては、もっと社会的・政治的なレベルで変化が必要ですが、個人的なレベルで、自分の難しさを共有しあい、サポートしあえるようになれば、もっと多くの人がいろんな選択肢を持てるようになるのではないかなと思います。 年末年始、家族や友人と過ごす時間の中でも、いろんな難しさがあるかもしれませんが、その難しさとちょっと向きあい、どんなサポートが可能か、考えてみるのもアリかもしれません。
それでは、よい年末年始をお過ごし下さい◎
【略歴】
安積宇宙(あさかうみ) 1996年石丸偉丈氏と安積遊歩氏の元に産まれる。
母の体の特徴を受け継ぎ、生まれつき骨が弱いという特徴を持つ。
ニュージーランドのオタゴ大学、社会福祉専攻、修了。現在、ニュージーランド在中。
共著に『多様性のレッスン 車いすに乗るピアカウンセラー母娘が答える47のQ&A』(ミツイパブリッシング)。
2019年7月、NHKハートネットTVに母である安積遊歩とともに出演。