晩年の楽しみ

清水慎吾



高度経済成長期を支えた人達が今介護を必要としている。

それは男性であっても女性であっても、戦後の混乱期を潜り抜け大変な時代を過ごされた方々である。

財を成した人も、生活保護を受けている人も皆何かしらの苦労をされてきた人ばかりである。

この業界に入って、しかもデイサービスという高齢者の方々が集まる部署に配属されて一番思う事は、そのような方々が一人残らず笑顔で1日を過ごし、晩年の終末期に色々な事を楽しんで行かれることを手助けさせて頂きたい。そう思う。

利用者同士で言い争いもする。スタッフに妄想めいた非難を言われる方もいる。

そういうご病気なのだから仕方がない。

何も好きでそうなった訳ではない。

通所で働くようになって、もう何人の方々を御見送りしただろう。

施設に入られた方で、まだご存命の方は何名いらっしゃるだろう。

ここへ来て同じことを何度も言いながら笑ってお帰りになる事が、どんなにその方々の生きる力になっているだろう。

家に帰っても独りの方々はどんなに不安だろう。

そう考えると今ご通所方々にも出来るだけの事はしたいと思う。



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