土屋人日記 せめて今日みたいな実地研修の時は泣かないでね・・・。

井上輝寿




「わーん、わーん、ママー」
「おなかすいたー、ごはんたべるー」
「わーん、わーん、ママー」
「ごはんたべないー」

これ、ある現場でのひとコマ。
前回のコラムで書いた統合課程で預かった3歳児の再登場。

新しく始まった現場で別事業所のスタッフさんが事業所で見れない際は現場に連れてきて良いとの事でご対面。ちゃんと覚えてくれてたみたいで挨拶もしてくれたがほどなくぐずりモードに。

その時が初対面の訪看さんは何で?何事?的な表情。

この子は今いる空間をどう思ってるのかなーと考えながらある利用者の一言が頭に浮かんだ。

その方は自立支援の事業所の代表もされてるのだが、ある時会話の流れの中で障害者を取り巻く環境において制度や他にも色々問題はあるが、一番の問題は教育だと言われていた。
概ね多くの障害者の方は バリアフリー含め施設的な問題や人員的な問題等あり 小学校から後はいわゆる一般的な学校からは離される。
多感と言われるその時期に健常者も障害者も共に過ごさず接する機会もないまま大人になってしまう。
だからお互いの事を理解するのに時間がかかる、あるいは理解出来ないのは当たり前だと。

確かに私自身もこの仕事に携わる前は街中で車いすの方を見てもそれほど気にしてなかったが、今では歩道の段差とか気になってしまったりしている。
これが身近に障碍者の方がいる中で育っていたら自然と考えたり、あるいは自然と手伝ったりする事が出来たのかなと。

で、再び目の前で泣いてる女の子の事を考える。

この子はある意味ここが普通の空間だと思ってるから大声で泣いてるのかなと。
いつまで現場に来るかは定かではないがALSの方が身近で日常を過ごしている事を普通の事と思うようになるのかなと。

そう考えるとこれは良い経験なのかなと思う。

同時にこうも願う。
せめて今日みたいな実地研修の時は泣かないでね・・・。





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