介護のお仕事から学んだこと  想像と全く違った

介護のお仕事から学んだこと  想像と全く違った

野村拓平



学生時代の僕は将来、介護に携わるなんて絶対にないと思っていたので今の自分を見たらなんと言うだろう,,,。

これほどまでに強く言えるのは「介護職なんて絶対にならないだろう」という謎の確信があったからだ。僕の姉は大学で福祉を専攻し、卒業と同時に特別養護老人ホームに勤務をした。新社会人として様々な方面からプレッシャーがかかるのか、いつも仕事のグチを家族に漏らしていた。そんな姉を見ていたからなのか、わざわざ世話を焼きに行ってへこまされるなんてなんて仕事だよ…。と思っていたのかもしれない。

そもそも介護に抱いていたイメージが「高齢者の面倒」といった感じで、なんで見ず知らずの人の面倒を見なきゃいけないんだ?自分が老いても人の世話にはならない!と思っていた。

しかし転職を機に様々な業種を見ていたところ、弊社のページが目に留まった。重度訪問というのがあるらしい。姉とは違うのか。しかもなんだこの月収は!?(←すみません) 面白いから話だけでも聞きに行ってみようかな。……

と、紆余曲折を経て入社し重度訪問介護の世界に踏み入ったわけだが、想像と全く違った。人に介護されるというのはもうかなり弱った人を対象としたものとばかり思いこんでいたのだが、実際に訪問した先では我々と変わらず日々を普通に暮らしている人々だった。できないことやしてもらいたいことだけを任せるといった感じで、それが生活の一部に組み込まれているような、とても自然な感じが印象的だった。

姉が日々相手にしている人々は、言っていることが聞こえず、理解ができず、自分の意見がないという人が多い印象だったが、こちらはしっかりと言いたいことが、つまり信念を皆持っており、こうしたい、ああしたいと頻繁に主張されるのだ。高齢者ではないから当然なのだが、ずぶの素人からすると区別がついていないからとても衝撃的だった。

バリアフリー化が進んできたとはいえまだまだ自由に行き来で気ない場所も多かろうに、彼らはいろんなところに行っているのもまた衝撃だった。映画はもちろん外食、温泉、進学、海外旅行などどこへでも行こうとするのだ。

そんな姿に影響されてか、僕もまだまだやるぞ!といった気持ちが沸々と沸き上がって来るのだ。彼らに負けないように、そして良き介助者であれるように努めていきたい。

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