アメリカンフットボールから学ぶチームプレー

野村拓平


アメリカンフットボールから学ぶチームプレー

みなさんはアメリカンフットボールをご存知でしょうか?
このような問いかけをするとほとんどの人がラグビーとの区別がついておりません。「ヘルメット被るのがどっちだっけ?」「五郎丸のやつ?」というやり取りは毎回の事で、いかに日本においてマイナースポーツかというのが分かります。

では、名前だけ聞いた時にどのようなイメージを抱きますか?
危ない、デカい、いやよくわからない…etc イメージを挙げるとこういった感じでしょうか?特段興味もないから考えたこともないというのが大半の意見かと思います。ですが、私から端的に説明するとアメフトは「戦略のスポーツ」です。
スポーツなんだから当たり前でしょうといった声が聞こえてきそうですが、アメフトの戦略性はそのシステムに魅力があります。

フットボールというくらいですから1チーム11人でのプレー、攻守それぞれが明確に分かれており、オフェンスとディフェンスが分かれて戦う。ここまではほとんどのチームスポーツに共通している点です。面白いのは、ポジションごとに役割が明確に決まっていることです。

★以下にポジションと役割を記載します。
オフェンス:ボールを持って敵陣まで運ぶ
・OL(オフェンスライン):ボール保持者を守る
・QB(クォーターバック):チームの司令塔。パスを投げる、手渡す、自ら走るなど作戦の中的存在
・RB(ランニングバック):主に手渡されたボールを持って走る
・WR(ワイドレシーバー):主に投げられたボールをキャッチして走る

ディフェンス:ボールを自陣まで持ち込ませない
・DL(ディフェンスライン):OLのブロックをこじ開けタックルする
・LB(ラインバッカー):パスとランの両方を警戒・阻止する
・CB(コーナーバック):大外で主にWRのパスプレーを阻止する
・SF(セーフティー):最後の砦。前方の守備で止められなかった進行を阻止する

QB(クォーターバック)と聞くと、あぁなんとなく聞いたことのあるような…となるかもしれませんね。花形のポジションで、野球でいうところのピッチャーといった感じでしょうか。逆にOL(オフェンスライン)はボールに触れることができないという特殊なポジションでブロックに専念するという言わば縁の下の力持ちが存在することもこの競技の面白いところです。ボールに触れることができないポジションが存在するにもかかわらず、オフェンスは得点をすることができる。つまり「自身の役割に専念して取り組む」ことが得点につながると言い換えられます。

ビジネスにおいても同じことが言えるのではないでしょうか?
組織として動く以上、機能していないポジションや一人だけ違う動きをしていては掲げる目標にたどり着かず、逆に作戦を完璧に遂行すれば多大な成果につながるのです。

話はアメフトに戻りますが、ラグビーとの大きな違いの一つに「1プレー毎に止まる」という特徴があります。ラグビーの場合、タックルされて進行が止まれば後進の選手にボールを渡しますが、アメフトの場合はタックルされて進行が止まればそこで一度プレーが止まります。そうするとプレーの合間に作戦会議をする時間があります。この作戦会議を「ハドル」と呼び、各ポジションの動きを決定します。ですがハドルに与えられている時間は40秒なのでいちいち11人分の陣形と動きを口頭で説明している暇はありません。ではどうするのか?
あらかじめ決められた動きをするプレーをそこで共有するのです。

一例をあげると、ハドルの中で次のような指示が飛びます。
・『右Proパワー右』
・『左Slotトス左』
この呪文のような作戦名で11人全員が動き出します。驚きではありませんか?
細かく解説すると『陣形・プレー名・プレーサイド』がここで決定します。上の例を見ると右Proという陣形でパワーというプレーを右サイドに展開するという指示内容になります。もっと高度なレベルになると、相手側に漏洩するのを防ぐために暗号を使って指示を出します。ちなみにこれらのプレーを「アサイメント(任務・役割)」と呼びます。

選手に必要なスキルはまずプレーブックを頭に叩き込むこと!そして自身の担当を可能な限り確実にこなすことの2点です。それだけで実戦で動くことができます。気を付けなくてはならないのが、自身の動き方を間違えること。他のプレーと勘違いしていたり、プレーサイドを間違えたりすると途端にプレーが崩れ去ります…。試合後のミーティングで振り返りをしたときに罵詈雑言を浴びせられるのでみんな必死でアサイメントを暗記します。笑

このアサイメントですが実はじゃんけんのような要素があり、出すと必ず負けるプレーが存在します。簡単に説明すると、攻撃に割く人数が足りず必ずタックルされるという状況が生まれるのです。これらを予測するには敵の陣形を観察し、これから自分たちが遂行しようとする作戦が成功するか失敗するのかを予測することができます。 全ての物事に共通しますが、予測を立てずに行動することは危険を伴います。経験則、コンディション、環境などからその時に選択できる最良の選択が求められるということがよくわかります。

語ればまだまだ長くなるので、この辺にして振り返ると
・チームメンバーはそれぞれの与えられた任務をこなす
・作戦は連携が命!一人でも違う動きをすると目標達成が遠のく
・状況に応じて柔軟な対応をすることで危険を回避できる

といったことを教えてくれます。さすがアメリカ発祥のスポーツとあってシステマチックでビジネスにもいえるような共通点が見て取れるなと改めて感じました。

さて、弊社の掲げる「全ての必要な人に必要なケアを」という目標を聞き、みなさんはどう動きますか?

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