土屋人日記 「父ちゃん、おら、野球やりたいんだけど」

渡邊 知朗



次男が少し遠慮がちに話しかけてきた。

「父ちゃん、おら、野球やりたいんだけど」

・・・なるほど。

 今から3年ほど前だろうか。
長男が突然思い立ったように少年野球をやりたいと言い出したのは。本人がやりたがることをやるなと言うつもりは毛頭ないので、快く承諾し後押しをしたものである。私が協力できることは限られており、自分が休みだった場合に送り迎えや、たまに応援に行くことがせいぜいで、それ以外のことに協力するのは難しいのだが、それでも小4になった今でも辛抱強く継続している。本人にとってはピッチャーをやらせてもらったり、うまい具合にヒットが打てたりするとそれはそれは楽しいようである。
 私個人としては野球やサッカーより、室内競技であるバスケット・バレーボール・バドミントンなどの方が得意なのだが、それはまた別の話、あまり手伝ってあげられないものの、陰ながら応援している、といったところだろうか。

そんな長男を近くで見ていて、小1になった次男もやってみたいと思ったようである。返事は決まっている。

「母ちゃんが良いんなら、父ちゃんは構わないよ。」

子どものうちの習い事には多かれ少なかれ親の協力なしには成り立たない部分がある。妻が『大丈夫』と言える状態なら、反対する理由は何もない。

そんなことを考えていると、自然と小学生だった頃の自分が思い出される。どちらかというと引っ込み思案で泣き虫だった自分。その頃の父は自分にとってどんな存在だったであろう。低学年のうちは休みとなると、よく祖父母の家に連れてってくれた。また、行かないときは、気分が乗れば公園でキャッチボールをしたり、サッカーをしたり。休みともなると結構子守もしてくれる父であった。高学年になると休みであっても徐々に同級生と遊ぶ時間が増え、少しずつ父親と一緒にいる時間も少なくなっていた。子どもたちにとって、私はどのような父親に映っているのだろうか・・・。

今、ちょうど高学年に差し掛かっている長男は休みでも野球に行ったり、同級生と遊ぶことが増えてきている。次男はなんだかんだで一緒に出掛けることも多かったのだが、野球を始めるとなるとこれからは休みの日に一緒に外に出ることも少なくなるのかな、と少し寂しさも感じつつも、自主的に申し出てきた次男の成長を感じる出来事であった。

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