一人でも多くの方に

吉田伊織

以前こんな事をご利用者様からお話ししてくださった事があります。

『この体になって、治らない病気になって、今まで出来ていたことが出来なくなったこの気持ち、君に分かるか?』と。
決して嫌みで言ってきたことではなく、命を預ける身としてご自身の辛かった経験、病気を宣言された時の気持ち。多くを教えて下さいました。

多くの利用者様と携わらせて頂くなかでも、核心に触れるような話しはまずしませんし、このようなお話しをしてくださる事はすごく覚悟の中でお話ししてくださったと思います。

私はこの時、何も答えられなくなりました。
いえ、内心は答えは決まっていたのですが口に出せませんでした。その答えは今でも変わりません…

『分かりません。』

です。
話しに続きがあります。

『分かるわけないよね?それでいい。この気持ちはなった人にしか分からない。でも分かってほしい。分かった中で何を求めているのか感じ取ってほしい。でもそれってすごく難しい事。すごく矛盾してるけどそれだけ助けてほしいと思ってるし、それだけ頼りにしてる。宿題だね。』

どれだけ参考書を調べようとも、どれだけインターネットで調べようとも答えの導き出せない宿題です。
『分かりません。』これがあの問いかけに対する答えだったのか…
今でも考える事がありますが、それが答えでは無いことは確かです。

お困りになられてる方は、ご利用者様のみならず、御家族様も例外ではありません。
新しくサービスをご利用になる方の多くにギリギリのところまで御家族様で介護を行い、限界が近づきご依頼に至るケースが多いです。

このように一つのサービス立ち上げでも、ご利用者様からのニーズ、御家族様からのニーズによってサービス内容は多岐に分かれ、またそれぞれでのサービスで求められるものも違います。

ですが双方に必ず求められるものがあります。

寄り添う事です。

ご利用者様の本心、御家族様の本心はどんなにコミュニケーションを交わそうとも、分かることは難しいです。
ですが私たちは寄り添う事で、その気持ちに近づくことは出来ます。

すごく難しく、すごく責任のある、寄り添うなかでベストを探して、でも中々答えに辿り着けない、気持ちは分からないけど、それでいいんだと言ってもらえる。それでも助けて欲しい、頼りにしてくださっている方がいる。

模索しながら、きっと辿けない答えを探しながら、それでも支えになれる方に一人でも多く方に出会えるように、一人でも助けて欲しいと思っている方に手をさしのばせるように、今日もまた走り続けます。

写真はこの前ご依頼があった際の訪問で、遠目に海が見えたのと雲一つ無い晴天だったので撮った時のものです。
今度はもっと近場で撮ります笑

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