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でこぼこ道を歩く~団地の連弾~

でこぼこ道を歩く~団地の連弾~

城谷平



昨年12月中旬、大江戸線の光が丘というところの現場であるアパートに行った。脊椎の損傷で体が不自由な男性は、一人暮らしで体が大きく優しそうな印象。

なんだか音楽好きで明るい。ジャンルが多岐にわたるCDがかなりあって、60歳代初めのお年頃にしては近頃のアイドル歌手も聞かれるらしい。若さの秘訣かもしれない。僕は、初対面の話の端緒を音楽から始めることが多い。

 男性は一人突っ込み、ひとりボケみたいに、こちらが話しかけなくともひっきりなしにジョークを飛ばしているような人。楽しい人だ。外れたジョークも多いが愛嬌がある。辛いこと、不如意なことも多そうだが、自分を客観視している人と見た。ユーモアを強みにしている。

 応答にひねくれた感じがなくて、細かいことを教えてくれる。音楽という共通の話題はお互いを近づけてくれる。介護する側とされる側は、双方で歩み寄りが必要で、それができない場合は介護が成り立たなくなるというのが僕の考えです。

 という堅い話は置いて。

 その現場は昨日が初めての僕には、僕より若い40台の先輩が同行支援で教えてくれる。この仕事いろんな人がいて、出会いも面白いです。

 その人はイラストレーターだそうですぐに打ち解けた。特撮が好き、漫画が好き、酒も好きだそうで、これらは全部僕も好きだ。料理も好きで、九州出身なのでみそ汁の出汁もインスタントではなくイリコからちゃんとひくらしい。

 現場は、なんだか人工的な街・光が丘の巨大な団地。クライアントの男性はこの団地の一室に住んでいる。

写真は漫画家大友克洋の「童夢」という知ってる人は知ってる単行本作品。大友氏の大ヒットアニメ「AKIRA」は今ハリウッドで実写化される新作の企画が進んでいると伝えられる。買い物に行く次いでその若い先輩が話してくれた。

「童夢」に出てくる団地はまさに今自分がたってるここがモデルなんだそうで驚く。

 

   高い建物を見上げるとデジャブ(既視感)がある。大友作品は画力にモノを言わせた人物のいない景色の精密でクールな書き込みが大きな特徴だ。

 夕方の薄暮の中、薄暗く寒さがシンシンとしてきた中庭で見上げると、どこか人工的な白い街灯に照らされて、漫画そのままにそびえたった団地の建物の群れの中に自分が立っていたではないですか。  

【プロフィール】 1955年、佐賀県唐津市呼子町生まれ。いつのまにか還暦は過ぎ、あのゴジラよりは1歳年下。介護の仕事に就いたきっかけは先年亡くなった親友のデザイナーの勧め。「人助けになるよ」との言葉が効きました。約二十年くらい前に飲み友達だった大家が糖尿病で体が不自由になり、一昨年暮れに亡くなるまでお世話。思い出すとこれが初めての介護体験でした。今はその亡き大家のうちにそのまま住んでいます。元業界新聞記者、現ライター。