よいヘルパー42  利用者の手となり足となれる存在

野村拓平



良いヘルパー~介護現場での楽しさ~

僕の思う良いヘルパーとは、利用者の手となり足となれる存在だと思います。
我々は普段、何をするにも脳と身体がリンクしており、やりたいことを自由にできます。しかし、そうでない方々は僕たちヘルパーという手足に指示を出し、目的を達成します。ですが、達成した目的は必ずしも100%クリアの状態ではなく「不満は無くなった」程度で終わってしまっている事も間々見受けられます。
例えば「どこか痛い時」に自分の身体であれば適切な処置が出来ますが、他人にしてもらうとなると場所を教えてから原因を教えて…なんてことをしている内にイライラが募ってきて不機嫌になる。そんなことはありませんでしょうか?僕は先日、利用者様の洗面をしている際に、痛そうな顔をしたので「どこが痛いんですか!?上半身?下半身?」なんていちいち部位の確認をしていたところ、それを見ていたご家族様から「目に泡が入って痛いんだよ」と言われひったくられるようにしてケアを変わられました…。普通に考えれば洗面中に痛くなるところなんてそうないのに焦ってしまった自分はとりあえず基礎に帰ってしまったのです。こんな経験から相互のコミュニケーションにブランクがあればあるほど利用者の不満は強くなるのだと学びました。

よく、仕事が出来る人は「要領が良い」と言われますが、これは手抜きをしても発覚しにくい人に対しても使われる言葉なので僕はあえて使いません。要領の悪い自分はあえて「勘が良い」と思うようにしています。ヘルパーという仕事において勘の良さは事前に、あるいは瞬間に相手の思惑を察知し行動できる人だと思います。これができればコミュニケーションのブランクが解消でき、利用者の手となり足となることができます。

これはあくまで理想なので僕自身まだまだ道のりは長いと感じております。
コミュニケーションのブランクを極力無くすと述べましたが、コミュニケーションを取らなくなるのが理想ではありません。普段はしっかりとコミュニケーションを取り、その方の言い回しやクセ、何かを欲するタイミングなどを掴んでおくことが重要だと考えます。
一見、難しそうに見えますが(簡単ではありませんが)何を言おうとしているのかが分かってくると自分の成長を実感し、楽しさを見出すことができます。
縁の下の力持ちである必要はありません。利用者の一部となり一緒に目的を達成していくことに我々も生きがいを感じるのではないでしょうか。




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