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ブックレビュー 人生が楽になる 超シンプルなさとり方

ブックレビュー 人生が楽になる 超シンプルなさとり方

飯郷仁輝



私は昔から小説を読むよりも啓蒙書や哲学書を読むのが好きなのですが、最近また面白い本を見つけました。

『超シンプルなさとり方』という、何やら宗教本か!?と言われそうなタイトルの本です。

著者のエックハルト・トール氏のことは某SNSのbotで知ったのですが、カナダ出身、過去に壮絶な鬱に悩まされていたところ、ある日劇的な神秘体験をして以来、今では世界各地で精神世界の指導者として活躍している作家であります(ウ~ン…やはり宗教っぽい・笑)。

内容を簡単に言ってしまえば、我々人間の苦しみはエゴ(欲)を持つことから来ている。我々がよくやってしまうそのエゴを排除するのではなく、本当の自分(大いなる存在)からエゴを生み出している思考(偽物の自分)を見つめ観察、感じていくことで、その思考は勝手に消えていく。そのやり方が”今(この瞬間)”に意識を集中して生きること。本書はその”今に生きる”ことで内なる本当の自分(大いなる存在)に気付き(さとり)、エゴから生まれる苦しみから解放していきましょうという内容。

お金、経済、社会、人間関係・・・ここから派生する苦しみ、悩み、葛藤はすべてエゴだと。戦争などの争い、個人の主義や主張もエゴに入ると。概ね同感するものの、『そんなこと言ってもじゃあ、食欲はどうするの?』と個人的に感じましたが、お釈迦も『ほどほどにしなさい』と伝えているように、本書ではそれをやっている(人間界で肉体を借りて楽しんでいる)偽物の自分を、本物の自分(大いなる存在)から見て傍観しなさいと言っている。

『なるほどなあ』と唸った。

悪いことを排除せず、すべて現状起こっている事実をすべて受け入れると。

よくありませんか?否定すればするほど、その嫌なことは消えるどころかますます膨れ上がるということが。

物質を構成する量子の世界では、人の認識(観測行為)があって初めて物質が存在していることが最近解明されたワケですが、『なんとかしてこれらエゴをなくして、いいことだけを考えよう!』としても、その根底にある考えがすでにエゴなので、そのエゴの事象が目の前に現れるたり物質化してしまう。『お金持ちになりたくて必死に努力しているのになかなかなれない』とか、巷にこれだけビジネス本が流行っているのもこの原理からだなと思います。

では、どうしたらこのエゴを失くすことが出来るのか・・・著者は『今に生きろ』と。これだけです。

『今この瞬間を集中して生きる』ことによって、全てを受け入れることで、不安や苦しみから脱却し、他人や自分、物事に決めつけることをやめれば、徐々に身体の内から本来あった力を感じ、ワクワクして、思いやりや目の輝きや元気も取り戻せて、力強く穏やかに生きることが出来るというやり方が書いています。

大体の多くの自己啓発本などはこぞって目標を~とか成功が~など謳いますが、それだけだと、【現状なっていない自分】がますます現実化されるだけな筈なので、その辺りも気を付けたいかなあと、個人的には感じました。

最後に、洋書は訳がいのちですね。訳者によってだいぶ読み手に与える印象が変わってしまうんだなあとつくづく感じました。
著者の別作で”ニューアース”という新書タイプのブ厚い本があるのですが、まあ読みにくいことこの上ない(笑)!内容は本書をもっと噛み砕いた内容になっているのですが、本書の訳はとても読み手に解り易い文章で書いてくれているので、この本のみで十分だと思います。
あと、本書のタイトルの原題は、”Practicing The Power Of Now”というじつにポジティヴな単語ばかりが続くのですが、邦題は”人生が楽になる 超シンプルなさとりかた”という宗教チックな題名がとても残念。”being”を”大いなる存在”としたり・・・分かり易いのだけれどもうちょっと一般ウケしそうなフレーズはなかったのかなと、読後のシンプルな感想でした(笑)。

ちなみに、この”さとり”とは、いま思考(偽物の自分)が起こしていることを全部受け入れつつ、身体の各パーツが持っている鼓動、力なども含めた内なる深いところで繋がっている本当の自分(大いなる存在)を見つめるという意味。

表面しか見ない唯物的な考えを達観し、禅や仏教における悟りへの考え方と合致しており、生きるということに今まで以上に充実感、幸福感に満ち、平和な心を改めて知ることが出来ました。